生活介護のリハビリテーション加算は、リハビリテーション実施計画を作成した利用者について、当該指定生活介護等を利用した日に算定します。通知は「必ずしもリハビリテーションが行われた日とは限らない」と明記しており、実施日ではなく利用日で算定する点が特徴です1。加算の中心は「何をしたか」ではなく、開始時・2週間以内・6月ごと・終了前という決められたタイミングで多職種協働のカンファレンスを行い、実施計画を維持するという手順にあります。また (Ⅰ)48単位と(Ⅱ)20単位の違いは対象者の状態だけで、要件は共通です2。この記事では届出に必要な5つの基準、カンファレンスの手順、生活介護だけに認められた簡略化を、報酬告示と留意事項通知で整理します。
単位数#
| 区分 | 単位数 | 対象となる利用者 |
|---|---|---|
| リハビリテーション加算(Ⅰ) | 48単位/日2 | 頸髄損傷による四肢の麻痺その他これに類する状態にある障害者であって、リハビリテーション実施計画が作成されているもの2 |
| リハビリテーション加算(Ⅱ) | 20単位/日2 | (Ⅰ)の対象者以外の障害者であって、リハビリテーション実施計画が作成されているもの2 |
(Ⅰ)と(Ⅱ)で要件(1)〜(5)は共通で、違うのは対象者の状態だけです。いずれも都道府県知事又は市町村長に対して障害保健福祉部長が定める様式による届出を行っていることが前提です2。
届出に必要な5つの基準#
報酬告示は、次の(1)〜(5)のいずれにも適合することを求めています2。
| # | 基準 |
|---|---|
| (1) | 医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士その他の職種の者が共同して、利用者ごとのリハビリテーション実施計画を作成していること |
| (2) | 実施計画に従い医師又は医師の指示を受けた理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が指定生活介護等を行っているとともに、利用者の状態を定期的に記録していること |
| (3) | 実施計画の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて当該計画を見直していること |
| (4) | 指定障害者支援施設等に入所する利用者について、リハビリテーションを行う医師・PT・OT・STが、看護師、生活支援員その他の職種の者に対し、リハビリテーションの観点から日常生活上の留意点、介護の工夫等の情報を伝達していること |
| (5) | (4)以外の利用者について、事業所の従業者が必要に応じ、指定特定相談支援事業者を通じて、指定居宅介護サービスその他の指定障害福祉サービス事業に係る従業者に対し、同様の情報を伝達していること |
(4)と(5)は、施設入所者か否かで情報伝達の相手と経路が変わるという構造です。施設入所者は施設内の他職種へ直接、それ以外は相談支援事業者を通じて外部サービスの従業者へ伝えます。
前提|個別支援計画の一環として行う#
通知はまず位置づけを示しています1。
リハビリテーション加算に係るリハビリテーションは、利用者ごとに行われる個別支援計画の一環として行われることに留意すること。
独立した訓練プログラムではなく、個別支援計画の中に組み込まれるものとして扱います。
算定日|実施日ではなく「利用した日」#
ここが実務で最も誤解しやすい点です1。
リハビリテーション実施計画を作成した利用者について、当該指定生活介護等を利用した日に算定することとし、必ずしもリハビリテーションが行われた日とは限らないものであること。
実施計画が作成されていれば、その利用者が生活介護を利用した日に算定できます。「リハビリを提供した日だけ算定する」という理解は誤りです。
手順|4つのタイミング#
加算の要件は、次のア〜エの手順を踏むことです1。
| タイミング | 行うこと |
|---|---|
| ア 利用開始時 | 情報収集 → 関連スタッフが暫定的にアセスメントと評価 → 多職種協働で開始時リハビリテーションカンファレンス → 実施計画原案を作成 → 利用者又はその家族に説明し同意を得る1 |
| イ 概ね2週間以内、及び6月ごと | 原案に基づく実施をしながら関連スタッフがアセスメントと評価 → 多職種協働でリハビリテーションカンファレンス → 実施計画を作成 → 利用者又はその家族に説明し同意を得る1 |
| ウ 利用を終了する前 | 関連スタッフによる終了前リハビリテーションカンファレンス。終了後に利用予定の指定特定相談支援事業所の相談支援専門員や他の障害福祉サービス事業所のサービス管理責任者等の参加を求める1 |
| エ 利用終了時 | 指定特定相談支援事業所の相談支援専門員や利用者の主治の医師に対してリハビリテーションに必要な情報提供を行う1 |
「関連スタッフ」とは#
医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、その他の職種の者を指します1。
イの途中経過での連携#
イのカンファレンスの結果、必要と判断された場合は、関係する指定特定相談支援事業所の相談支援専門員や他の障害福祉サービス事業所等に対して、リハビリテーションに関する情報伝達(日常生活上の留意点、サービスの工夫等)や連携を図ることとされています1。
生活介護だけに認められた3つの簡略化#
手順は多く見えますが、通知は書類作成の負担を減らす取扱いを明示しています。
① 実施計画原案は個別支援計画への記載で代えられる#
生活介護に固有の取扱いです1。
生活介護サービスにおいては、リハビリテーション実施計画原案に相当する内容を個別支援計画に記載する場合は、その記録をもってリハビリテーション実施計画原案の作成に代えることができるものとすること。
別紙の実施計画原案を作らず、個別支援計画に書き込む運用が認められています。
② 実施計画は原案の変更で代えられる#
イの段階について、通知は次のとおり定めています1。
- リハビリテーション実施計画を新たに作成する必要はなく、実施計画原案の変更等をもって実施計画の作成に代えることができる
- 変更等がない場合にあっても、実施計画原案を実施計画に代えることができる
原案から内容が変わらなければ、原案そのものを実施計画として扱えます。
③ サービス提供の記録があれば別途の記録は不要#
記録の二重作成を避ける取扱いです1。
指定障害福祉サービス基準第93条において準用する同基準第19条第1項に規定するサービス提供の記録において、利用者ごとのリハビリテーション実施計画に従い医師又は医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士が利用者の状態を定期的に記録する場合は、当該記録とは別にリハビリテーション加算の算定のために利用者の状態を定期的に記録する必要はないものとする。
サービス提供の記録(第19条第1項)については障害福祉の記録|サービス提供記録と実績記録票も参照してください。
カンファレンスはテレビ電話装置等で実施できる#
ア・イ・ウのリハビリテーションカンファレンスの実施にあたっては、テレビ電話装置等を活用して行うことができるとされています1。
ただし条件が2つ付されています1。
- 障害を有する者が参加する場合には、その障害の特性に応じた適切な配慮を行うこと
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」等を遵守すること
実務チェックリスト#
- リハビリテーションを個別支援計画の一環として位置づけているか
- 実施計画を作成した利用者について、利用した日に算定しているか(実施日に限定していないか)
- 開始時カンファレンスを多職種協働(医師・PT・OT・ST・その他の職種)で行っているか
- 原案・実施計画について利用者又は家族への説明と同意を得ているか
- 概ね2週間以内と6月ごとのアセスメント・カンファレンスを実施しているか
- 利用終了前のカンファレンスで、終了後に利用予定の相談支援専門員・他事業所のサビ管等に参加を求めた記録があるか
- 利用終了時に相談支援専門員と主治医へ情報提供しているか
- テレビ電話装置等を使う場合、障害特性への配慮と個人情報保護ガイドラインの遵守ができているか
よくある質問#
Q. リハビリを実施していない日も算定できますか?#
できます。通知は「リハビリテーション実施計画を作成した利用者について、当該指定生活介護等を利用した日に算定することとし、必ずしもリハビリテーションが行われた日とは限らない」と明記しています1。
Q. (Ⅰ)48単位と(Ⅱ)20単位はどう分かれますか?#
対象者の状態だけで分かれます。(Ⅰ)は頸髄損傷による四肢の麻痺その他これに類する状態にある障害者であってリハビリテーション実施計画が作成されているもの、(Ⅱ)はそれ以外の障害者であって実施計画が作成されているものが対象です2。届出に必要な(1)〜(5)の基準は共通です2。
Q. リハビリテーション実施計画原案を別途作成する必要がありますか?#
生活介護では不要にできます。実施計画原案に相当する内容を個別支援計画に記載する場合は、その記録をもって原案の作成に代えることができるとされています1。
Q. 6月ごとに実施計画を作り直す必要がありますか?#
作り直す必要はありません。原案の変更等をもって実施計画の作成に代えることができ、変更等がない場合は原案を実施計画に代えることができます1。ただしアセスメント・カンファレンス自体は概ね2週間以内及び6月ごとに行い、作成した実施計画について利用者又は家族の同意を得ます1。
Q. 利用者の状態を記録する書類を別に作る必要がありますか?#
不要です。サービス提供の記録(指定障害福祉サービス基準第93条において準用する第19条第1項)において、実施計画に従い医師又は医師の指示を受けた理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が利用者の状態を定期的に記録している場合は、当該記録とは別に加算算定のための記録を行う必要はありません1。
Q. カンファレンスはオンラインでもよいですか?#
よいとされています。テレビ電話装置等を活用して行うことができます1。ただし障害を有する者が参加する場合はその障害の特性に応じた適切な配慮を行い、個人情報保護委員会のガイドライン等を遵守する必要があります1。
制度上の根拠#
- 留意事項通知「リハビリテーション加算の取扱いについて」(個別支援計画の一環としての位置づけ・利用日での算定・ア〜オの手順・生活介護における原案の簡略化・記録の重複不要・テレビ電話装置等の活用)1
- 報酬算定構造「リハビリテーション加算」((Ⅰ)48単位/(Ⅱ)20単位)3
- 報酬告示 別表介護給付費等単位数表 第6の8((Ⅰ)(Ⅱ)の対象者の区分・届出に必要な(1)〜(5)の基準)2
Footnotes#
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厚生労働省「令和6年度 費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」p.134〜136 https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16 ↩17 ↩18 ↩19 ↩20 ↩21 ↩22 ↩23
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厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号)別表介護給付費等単位数表 第6の8 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10
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厚生労働省「令和8年6月施行 障害福祉サービス費等の報酬算定構造」p.439 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001696433.pdf ↩