就労定着支援の基本報酬と定着率による報酬区分を徹底解説

更新: 2026年6月30日

就労定着支援とは — サービスの概要#

就労定着支援は、障害福祉サービスを利用して一般就労に移行した障害者に対して、就労に伴う生活面の課題を解決し、職場への定着を支援するサービスです1

就労移行支援や就労継続支援等を利用して企業等に就職した後、職場での人間関係、体調管理、生活リズムの維持、金銭管理など、就労に伴うさまざまな課題が発生します。就労定着支援では、これらの課題に対して企業・家族・医療機関等との連絡調整を行い、利用者の安定した就労継続を支援します。

利用対象者と利用期間#

項目内容
対象者就労移行支援等を利用して一般就労に移行した障害者
利用開始時期就職後6か月を経過した時点から(最初の6か月は就労移行支援事業所等がフォロー)
利用期間最大3年間(1年ごとに支給決定を更新)

基本報酬の仕組み — 定着率連動型#

就労定着支援の基本報酬は、事業所の就労定着率に応じて区分が決まる成果連動型の報酬体系です。定着率が高い事業所ほど高い報酬が設定されています1

就労定着率の定義#

就労定着率は、過去3年間の就労定着支援の利用者のうち、支援終了時点で就労を継続していた者の割合で算出します2

定着率 = 支援終了時に就労継続していた者の数 ÷ 過去3年間の支援終了者総数

報酬区分と定着率#

区分定着率報酬水準
就労定着支援サービス費(Ⅰ)9割以上最高
就労定着支援サービス費(Ⅱ)8割以上9割未満
就労定着支援サービス費(Ⅲ)7割以上8割未満
就労定着支援サービス費(Ⅳ)7割未満

基本報酬の単位数一覧#

就労定着支援の基本報酬は、1月あたりの月額算定です(通所系サービスの日額算定とは異なります)。

利用開始から1年目#

区分定着率単位数(1月)
サービス費(Ⅰ)9割以上3,415単位
サービス費(Ⅱ)8割以上2,952単位
サービス費(Ⅲ)7割以上2,493単位
サービス費(Ⅳ)7割未満1,809単位

利用開始から2年目#

区分定着率単位数(1月)
サービス費(Ⅰ)9割以上2,782単位
サービス費(Ⅱ)8割以上2,403単位
サービス費(Ⅲ)7割以上2,031単位
サービス費(Ⅳ)7割未満1,472単位

利用開始から3年目#

区分定着率単位数(1月)
サービス費(Ⅰ)9割以上1,935単位
サービス費(Ⅱ)8割以上1,672単位
サービス費(Ⅲ)7割以上1,413単位
サービス費(Ⅳ)7割未満1,025単位

※ 上記の単位数は令和8年6月施行の報酬算定構造に基づく参考値です。年数が経過するほど単位数が逓減する設計となっています1


年数による単位数の逓減#

就労定着支援の基本報酬は、利用年数が経過するほど単位数が下がる設計です。これは以下の考え方に基づいています2

  • 利用開始1年目は支援ニーズが最も高い(職場適応、生活リズムの確立等)
  • 2年目以降は利用者自身の適応力が向上し、支援の頻度・密度が低下する
  • 3年目は支援終了に向けた移行期であり、自立的な就労継続を促す

事業所の経営の観点では、1年目の利用者を多く確保することが収益の最大化につながります。就労移行支援事業所との連携により、継続的に新規利用者を受け入れる体制を整えることが重要です。


新規事業所の取扱い#

就労定着支援事業所の開設当初は、定着率の実績がありません。この場合、以下の経過措置が適用されます2

  • 1年度目 — サービス費(Ⅱ)の単位数を適用
  • 2年度目以降 — 前年度までの実績に基づき区分を判定

主な加算#

就労定着支援で算定できる主な加算は以下のとおりです1

加算名単位数算定単位概要
初期加算30単位1日につき利用開始から30日以内
ピアサポート実施加算100単位1月につきピアサポーターによる支援
処遇改善加算基本報酬の一定割合1月につき区分に応じた加算率

実務上の注意点#

月1回以上の対面支援#

就労定着支援では、利用者に対して月1回以上の対面による支援(職場訪問または事業所での面談)を実施することが求められます。対面支援を実施しなかった月は、基本報酬を算定できない場合があります2

企業との連携記録#

就労定着支援の中核は、利用者・企業・家族等との連絡調整です。以下の記録を整備してください。

  • 企業訪問の日時・対応者・協議内容
  • 利用者との面談記録(本人の状態、課題、今後の方針)
  • 関係機関(医療機関、障害者就業・生活支援センター等)との連携記録

利用期間の管理#

就労定着支援の最大利用期間は3年間です。支給決定は1年ごとに更新されるため、更新手続きのスケジュール管理を徹底してください。3年の利用期間終了後は、障害者就業・生活支援センター等の地域の支援機関に引き継ぐことが想定されています2


就労移行支援との関係#

就労定着支援事業所は、就労移行支援事業所が一体的に運営するケースが多く見られます。就労移行支援で一般就労に移行した利用者を、そのまま就労定着支援で継続的にフォローする体制です。

この一体的運営には以下のメリットがあります。

  • 利用者との信頼関係が継続される
  • 就労移行支援時のアセスメント情報を活用できる
  • 就労移行支援の就職実績が就労定着支援の利用者確保につながる
  • 事業所全体の収益が安定する

よくある質問#

Q. 就労定着支援はいつから利用できますか?#

一般就労に移行した後、最初の6か月間は就労移行支援事業所等による定着支援が行われます。就労定着支援は、就職後6か月を経過した時点から利用を開始できます2

Q. 就労定着支援の利用者が離職した場合の取扱いは?#

利用者が離職した場合は、再就職に向けた支援(ハローワークとの連携、就労移行支援事業所への再利用調整等)を行うことも就労定着支援の範囲に含まれます。ただし、離職後の支援が長期化する場合は、就労移行支援への切替えを検討する必要があります2

Q. 就労継続支援A型での就労は「一般就労」に含まれますか?#

含まれません。就労定着支援の対象は、雇用契約に基づく企業等での就労に移行した障害者です。就労継続支援A型は福祉サービスであり、一般就労には該当しません2

Q. 定着率が低い場合に改善する方法はありますか?#

定着率は過去3年間の実績で算出されるため、直近の年度で定着実績を積み上げることが重要です。具体的には、企業との定期的な連絡調整の強化、利用者の生活面の課題への早期介入、ジョブコーチ等の専門職との連携が効果的です。


Footnotes#

  1. 厚生労働省「令和8年6月施行 障害福祉サービス費等の報酬算定構造」 2 3 4

  2. 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに留意すべき事項等について」(留意事項通知) 2 3 4 5 6 7 8