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就労継続支援B型の人員配置基準とは#
就労継続支援B型を運営するためには、厚生労働省令で定められた人員配置基準を満たす必要があります。指定基準(人員基準)上の最低ラインは、職業指導員・生活支援員の総数が常勤換算で利用者数を10で除した数以上です[^3]。
これとは別に、基本報酬(就労継続支援B型サービス費)は人員配置に応じて3段階に分かれます。職業指導員・生活支援員の総数が常勤換算で利用者数を6で除した数以上であればサービス費(Ⅰ)、7.5で除した数以上であればサービス費(Ⅱ)、10で除した数以上であればサービス費(Ⅲ)を算定します(いずれも工賃向上計画を作成している事業所が対象。上位のサービス費を算定している場合を除く)[^2]。参加等評価方式にも同じ3段階(サービス費(Ⅳ)=6:1/(Ⅴ)=7.5:1/(Ⅵ)=10:1)があります[^2]。
人員配置6:1の類型(サービス費(Ⅰ)・(Ⅳ))は、多様な利用者への対応を行う事業所がさらなる手厚い人員配置をできるよう、令和6年度報酬改定で新設されたものです[^4]。手厚い配置ほど基本報酬が高く設定されており、事業所の経営判断に直結するポイントです。
この記事では、B型の人員配置基準の全体像、各職種の配置ルール、人員配置(サービス費(Ⅰ)〜(Ⅲ))と報酬の関係、常勤換算の計算方法までを解説します。
必置職種と配置基準#
就労継続支援B型で配置が義務づけられている職種は、以下の4つです[^3]。
| 職種 | 配置基準 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 管理者 | 1名以上(常勤) | 事業所の管理業務に専従。支障がなければサービス管理責任者等との兼務可 |
| サービス管理責任者 | 利用者60名以下:1名以上 / 61名以上:1名+40名ごとに1名追加 | 実務経験+所定の研修修了が必要。うち1名以上は常勤(専従が原則だが、利用者の支援に支障がない場合は兼務可) |
| 職業指導員 | 生活支援員との総数が、常勤換算で利用者数を10で除した数以上(基準上の最低。報酬上は6:1/7.5:1の上位区分あり) | 職業指導員又は生活支援員のうち、いずれか1名以上が常勤 |
| 生活支援員 | 職業指導員との総数が、常勤換算で利用者数を10で除した数以上(同上) | (同上:両職種で合わせて1名以上が常勤であればよい) |
職業指導員・生活支援員の配置数#
職業指導員と生活支援員は、合計で「利用者数 ÷ 配置比率」以上の人数(常勤換算)を配置する必要があります。職業指導員・生活支援員はそれぞれ1名以上を配置し、このうち職業指導員又は生活支援員のいずれか1名以上が常勤でなければなりません(両職種それぞれに常勤を求めるものではありません)[^3]。
定員20名の事業所の場合の計算例(利用者数=20名とした場合):
- サービス費(Ⅰ)(6:1):20名 ÷ 6 = 3.33… → 常勤換算3.34以上(職業指導員+生活支援員の合計)
- サービス費(Ⅱ)(7.5:1):20名 ÷ 7.5 = 2.66… → 常勤換算2.67以上(同上)
- サービス費(Ⅲ)(10:1)=基準上の最低:20名 ÷ 10 = 常勤換算2.0以上(同上)
いずれの場合も、職業指導員1名以上・生活支援員1名以上をそれぞれ配置し、そのうち(職業指導員又は生活支援員の)いずれか1名以上を常勤とします。実際の判定は「前年度の平均利用者数」を用いるため(新規指定時は推計値)、定員と利用者数が異なる場合は数値が変わります。端数の取扱い(小数点以下の丸め方)は指定権者の手引きで確認してください。
管理者の兼務ルール#
管理者は原則として管理業務に専従する必要がありますが、管理業務に支障がない場合は以下の兼務が認められています[^3]。
- 同一事業所のサービス管理責任者との兼務
- 同一敷地内の他事業所(同一法人)の管理者や従業者との兼務
ただし、管理者がサービス管理責任者を兼務する場合でも、それぞれの業務に十分な時間を確保する必要があります。
サービス管理責任者の配置#
サービス管理責任者は、個別支援計画の作成・見直しやサービス提供プロセスの管理を担います。利用者数60名以下の事業所は1名以上、61名以上は1名に加え40名ごとに1名追加が必要です[^3]。
実務経験(3年〜10年、資格・業務による)と所定の研修(基礎研修+実践研修)の修了が要件です。詳細は「サービス管理責任者の実務経験要件」を参照してください。
人員配置(サービス費(Ⅰ)〜(Ⅲ))と報酬の関係#
配置比率による報酬差#
就労継続支援B型のサービス費(平均工賃月額方式)は、職業指導員・生活支援員の配置に応じて次の3区分になります[^2]。
- サービス費(Ⅰ) — 配置比率 6:1以上(令和6年度改定で新設)
- サービス費(Ⅱ) — 配置比率 7.5:1以上((Ⅰ)を算定している場合を除く)
- サービス費(Ⅲ) — 配置比率 10:1以上((Ⅰ)・(Ⅱ)を算定している場合を除く)
手厚い配置ほど単位数が高く設定されています。基本報酬は事業所の前年度実績の平均工賃月額に応じた14区分(令和8年6月改定で従来の8区分から細分化。令和6年度改定前後で区分が上がっていない事業所は見直しの適用対象外)で決まります[^1][^2]。
平均工賃月額の区分基準額(令和8年6月改定・14区分):
| 区分 | 平均工賃月額の範囲 |
|---|---|
| (一) | 4万8千円以上 |
| (A) | 4万5千円以上4万8千円未満 |
| (二) | 3万8千円以上4万5千円未満 |
| (B) | 3万5千円以上3万8千円未満 |
| (三) | 3万3千円以上3万5千円未満 |
| (C) | 3万円以上3万3千円未満 |
| (四) | 2万8千円以上3万円未満 |
| (D) | 2万5千円以上2万8千円未満 |
| (五) | 2万3千円以上2万5千円未満 |
| (E) | 2万円以上2万3千円未満 |
| (六) | 1万8千円以上2万円未満 |
| (F) | 1万5千円以上1万8千円未満 |
| (七) | 1万円以上1万5千円未満 |
| (八) | 1万円未満 |
サービス費(Ⅰ)〜(Ⅲ)の比較(定員20人以下・平均工賃月額方式・1日あたり単位数):
| 区分 | (Ⅰ) 6:1 | (Ⅱ) 7.5:1 | (Ⅲ) 10:1 |
|---|---|---|---|
| (一) | 837 | 748 | 682 |
| (A) | 812 | 726 | 662 |
| (二) | 805 | 716 | 653 |
| (B) | 781 | 695 | 634 |
| (三) | 758 | 669 | 611 |
| (C) | 738 | 649 | 594 |
| (四) | 738 | 649 | 594 |
| (D) | 726 | 637 | 577 |
| (五) | 726 | 637 | 572 |
| (E) | 705 | 618 | 557 |
| (六) | 703 | 614 | 557 |
| (F) | 682 | 596 | 541 |
| (七) | 673 | 584 | 532 |
| (八) | 590 | 537 | 490 |
定員21人以上や参加等評価方式(サービス費(Ⅳ)〜(Ⅵ))を含む全区分の単位数は、就労継続支援B型 基本報酬 全単位数一覧表 を参照してください。
同一区分・定員規模での(Ⅰ)と(Ⅱ)の差は概ね89単位程度、(Ⅱ)と(Ⅲ)の差は概ね47〜66単位程度です。たとえば区分(一)・定員20人以下では、サービス費(Ⅰ)が837単位、(Ⅱ)が748単位、(Ⅲ)が682単位となります[^1]。
配置比率の選び方#
どの配置比率を選択するかは、以下の観点で判断します。
- 人件費と報酬のバランス: 6:1・7.5:1は報酬が高い一方、必要な職員数が多く人件費が増加する
- 利用者数と安定性: 利用者数の変動が大きい場合、常時上位の配置比率を維持するのが困難なケースがある
- 職員の確保状況: 地域の人材確保環境を考慮し、無理のない配置比率を選択する
常勤換算方法#
人員配置基準を満たしているかどうかは、常勤換算方法で判定します[^3]。
常勤換算の計算式#
常勤換算人数 = 非常勤職員の勤務時間数の合計 ÷ 常勤職員が勤務すべき時間数
常勤職員は「1.0」として計算し、非常勤職員は実際の勤務時間を常勤の勤務時間で割った値で計算します。
例:常勤の所定労働時間が週40時間の事業所で、週30時間勤務の非常勤職員の場合 30 ÷ 40 = 0.75(常勤換算)
常勤換算の実務ポイント#
- 利用者数は「前年度の平均」で算定するのが原則です(新規指定時は推計)
- 育児・介護等による短時間勤務の職員は、週30時間以上勤務していれば常勤として取り扱うことができます[^3]
- 兼務している職員は、当該事業所での勤務時間のみを算入します
- 配置基準を下回った状態が続くと人員欠如減算の対象となります
人員基準を満たさない場合の減算#
人員配置基準を満たせなくなった場合、人員欠如減算が適用されます[^5]。
減算の内容#
- 人員基準上必要な員数から1割を超えて不足した場合:その翌月から、所定単位数の 70% で算定
- 不足が1割の範囲内の場合:その翌々月から所定単位数の 70% で算定(ただし翌月の末日までに基準を満たした場合を除く)
- 職業指導員・生活支援員の員数を満たしていない状態が3月以上継続した場合(サービス管理責任者は5月以上継続した場合):所定単位数の 50% で算定[^5]
人員欠如を防ぐための対策#
- 採用計画の前倒し: 退職の予兆があれば早めに求人を開始する
- 常勤換算の定期確認: 毎月の常勤換算数を算出し、基準を下回りそうな場合は早期に対応する
- 複数事業所間の連携: 同一法人内で人員配置の融通を検討する(ただし、兼務の場合は各事業所での勤務時間のみ算入)
届出に必要な書類#
人員配置体制に関して、指定申請時および体制変更時に必要な主な書類は以下のとおりです[^3]。
- 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表: 全職員の氏名・職種・勤務時間・常勤/非常勤の区分を記載
- 資格証の写し: サービス管理責任者の研修修了証等
- 組織体制図: 管理者・サビ管・職業指導員・生活支援員の配置を図示
- 変更届: 人員配置の区分(サービス費(Ⅰ)〜(Ⅲ))を変更する場合は、報酬の届出(体制等に関する届出書)を指定権者に提出
これらの書類は 5年間の保存義務 があります。
よくある質問#
Q. 管理者とサービス管理責任者を同一人物が兼務することは可能ですか?#
可能です。管理者は管理業務に支障がない範囲で、同一事業所のサービス管理責任者と兼務できます[^3]。ただし、兼務する場合でもそれぞれの業務に十分な時間を確保することが求められます。小規模な事業所ではよく見られる運用です。
Q. 6:1(サービス費(Ⅰ))にすると報酬はどのくらい増えますか?#
定員20名以下・平均工賃月額1万円以上1万5千円未満(区分(七))の場合、サービス費(Ⅰ)は 673単位/日、(Ⅱ)は 584単位/日、(Ⅲ)は 532単位/日 です[^1]。(Ⅱ)から(Ⅰ)への引き上げで1日あたり 89単位、(Ⅲ)から(Ⅱ)で 52単位 の差があります。月22日稼働・利用者20名で計算すると、(Ⅱ)→(Ⅰ)で月額約 39万円 の報酬増となります。ただし、上位の配置比率を満たすための追加の職員人件費との比較が必要です。
Q. 職業指導員や生活支援員に必要な資格はありますか?#
職業指導員・生活支援員には法令上の資格要件は定められていません[^3]。ただし、サービスの質を確保する観点から、障害福祉に関する研修の受講や実務経験のある人材を配置することが望ましいとされています。
Q. 人員基準を一時的に下回った場合、すぐに減算になりますか?#
即月ではありません。1割を超える不足の場合はその翌月から、1割の範囲内の不足の場合はその翌々月から減算が適用されます(1割の範囲内で、翌月の末日までに基準を満たした場合は減算されません)[^5]。ただし、速やかに人員確保の対策を講じる必要があります。
Q. 配置比率(サービス費(Ⅰ)〜(Ⅲ))は年度途中で変更できますか?#
変更は可能ですが、指定権者(都道府県または市町村)への届出が必要です。体制等に関する届出書を提出し、変更が認められた翌月から新しい配置比率に基づく報酬が算定されます。ただし、年度途中の変更は利用者への影響も大きいため、計画的に行うことが重要です。
制度上の根拠#
- 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第14の1 就労継続支援B型サービス費[^1]
- 留意事項通知(就労継続支援B型サービス費の区分・人員配置の取扱い)[^2]
- 指定基準(平成18年厚生労働省令第171号)第199条において準用する第186条(職業指導員及び生活支援員)・第215条(多機能型の特例)[^3]
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容(人員配置6:1の報酬体系の創設)[^4]
- 厚生労働大臣が定める利用者の数の基準、従業者の員数の基準及び営業時間の時間数並びに所定単位数に乗じる割合(平成18年厚生労働省告示第550号・人員欠如減算)[^5]