令和9年度報酬改定の検討が進行中 — 「主な論点(案)」が示された段階#
この記事の要点(2026年8月28日時点)
次の障害福祉サービス等報酬改定(令和9年度改定)に向けた検討が進んでいます。厚生労働省・こども家庭庁の検討チームは令和8年6月から関係団体ヒアリングを行い、令和8年8月27日の第62回会合で「令和9年度障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)」と、ヒアリング意見をまとめた「主な意見」が示されました314。
ヒアリングでは、第57回(6月26日)に就労系3団体が登壇し、工賃向上に向けた評価の強化、就労継続支援A型の「スコア方式」の見直し、手厚い人員配置の評価などを具体的に要望しています567。
本記事は、示された論点(案)と、ヒアリングで各団体が述べた意見を中心に、検討のスケジュールと体制もあわせて、2026年8月時点で公表されている事実を整理します。
⚠️ 本記事を読む前に — この段階で決まっていることはありません
個々のサービスの報酬がどう変わるかは、この段階では何も決まっていません。論点(案)自体に「上記の論点は現時点のものであり、今後議論を進めていく中で変更することがあり得る」と明記されています1。本記事で紹介するのは、**資料に記載された論点(案)**と、団体が意見として述べた事実だけです。検討結果の予測は行いません。資料のどの記述がどこまで確定しているのかは、①の最後で「原文の語尾による見分け方」として整理しています。
① 第62回で示された「主な論点(案)」(令和8年8月27日)#
令和8年8月27日の第62回会合で、事務局資料として「令和9年度障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)」が示されました31。6月から続いた関係団体ヒアリングを踏まえ、検討は論点整理の段階に入りました。
資料には、ヒアリングにおける意見も「参考としつつ」論点を整理し、「今後検討を進めていくこととしてはどうか」と記載されています1。以下は、示された論点(案)の内容です。
4つの柱#
| # | 主な論点(案) |
|---|---|
| 1 | 持続可能なサービス提供体制の確保 |
| 2 | 希望する地域等での生活の支援や多様なニーズへの対応 |
| 3 | サービスの質の確保・向上と制度の持続可能性の確保 |
| 4 | 地域差や人口減少への対応等 |
議論の前提として示された数値#
論点(案)の「はじめに」には、次の数値が示されています。制度の持続可能性が論点に挙がっている根拠にあたる部分です1。
| 数値 | 何を示すか |
|---|---|
| 利用者 約170万人 | 障害者自立支援法の施行から20年経過時点の規模 |
| 国の予算額 約2兆円3千億円(原文の表記のまま) | 同上。施行時と比較して約4.5倍 |
| 令和6年度改定の改定率+1.12% | 直近の本改定で引き上げられた率 |
| 総費用額 +12.1%の伸び | 改定率を大きく上回る実際の費用の伸び |
| 内訳:一人あたり総費用額 +6.0%/利用者数 +5.8% | 伸びが「単価」と「利用者数」の両方から生じていること |
「基本的な考え方」— 資源配分の考え方が明示された#
この節だけは語尾が「〜ではないか」ではなく断定形で、事務局が総額を薄く配るのではなく配分先を選別するという考え方を示した部分にあたります。次の記載があります1。
令和9年度障害福祉報酬改定に当たっては、必要な支援を行っていない事業者ではなく、質の高い支援の提供にしっかりと資源が用いられるようにする見直しが、制度の持続可能性の観点からも必要不可欠である。
事業者指定や指導監査等に関する取組に加え、報酬上もサービスの質の確保・向上に向けた取組を徹底し、メリハリのきいた報酬体系とするなど、総合的な取組を行う必要があるのではないか。
また参考として、**経済財政運営と改革の基本方針2026(令和8年7月21日閣議決定)**の抜粋が掲載されています1。
就労支援に関する論点#
就労支援は、柱「3.サービスの質の確保・向上と制度の持続可能性の確保」の**(2)各サービスにおける適正な評価**の中で取り上げられました1。
障害者の就労支援については、利用者や働き方の多様化等など障害者の就労を取り巻く環境の変化や、新たに始まった就労選択支援の状況等も踏まえつつ、「障害者就労に係る雇用福祉横断検討会」の議論の状況等も踏まえながら、障害者の就労を支援するための更なる方策を検討すべきではないか。
同じ(2)の「<想定される検討事項>」には、次の4項目が挙げられています1。
- サービス提供の実態やサービス内容・質に応じた評価
- 経営状況等を踏まえた報酬の設定
- 障害者の希望や能力に沿った就労支援を推進するための方策
- 経過措置への対応
なお同じ(2)の冒頭には、「営利法人を中心に、事業所数や利用者数が大幅に増加しているサービスが見られる中、制度の持続可能性の確保が重要な課題となっており、長期化した経過措置への対応の検討なども含め、メリハリのきいた報酬体系とする必要があるのではないか」と記載されています1。
いずれも「検討すべきではないか」という論点の提起であり、個別の報酬や加算がどうなるかは示されていません。 就労系サービスの基本報酬・工賃区分・A型のスコア方式について、論点(案)に個別の記載はありません1。
同日、ヒアリング意見のとりまとめも公表#
第62回では、資料3として「令和9年度障害福祉報酬改定に関する主な意見」も示されました。これは「障害福祉報酬改定検討チームにおいて実施した関係団体からのヒアリングにおける、報酬改定に関する主な意見を事務局においてまとめたもの」で、Ⅰ.各サービスに関する主な意見(28サービス)とⅡ.横断的事項に関する主な意見(9分類)で構成されています4。就労系は「13.就労選択支援」「14.就労移行支援」「15.就労継続支援A型」「16.就労継続支援B型」「17.就労定着支援」として整理されています4。
「決まったこと」と「論点」は、原文の語尾で見分けられる#
資料2には、性格の異なる3つの層が同居しています。どれも令和9年度改定の資料に記載された内容ですが、確定の度合いはまったく違います。原文の語尾で区別できます1。
| 層 | 原文の語尾 | 例 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 閣議決定の引用(参考掲載された骨太2026) | 「〜図る。」「〜検討する。」 | 「物価の変動に適切に対応するとともに、他職種と遜色のない処遇改善の実現を図る。」 | 政府として決定済みの方針。ただし決まっているのは方針であり、報酬の中身ではない |
| 事務局の「基本的な考え方」 | 「〜必要不可欠である。」 | 「質の高い支援の提供にしっかりと資源が用いられるようにする見直しが、制度の持続可能性の観点からも必要不可欠である。」 | 断定形で書かれた考え方。ただし検討チームの資料であり、告示・通知ではない |
| 各論点 | 「〜ではないか」 | 「障害者の就労を支援するための更なる方策を検討すべきではないか」 | 論点の提起。中身は何も決まっていない |
同じ「処遇改善」でも、骨太2026の引用箇所では「実現を図る。」、論点1では「実現を図ることが必要ではないか」と語尾が変わります1。前者は閣議決定の文言、後者は検討チームの論点(案)であり、性格が違います。
さらに論点(案)自体に「上記の論点は現時点のものであり、今後議論を進めていく中で変更することがあり得る」と付記されています1。「メリハリ」「見直し」といった語が資料にあることをもって、特定のサービスの報酬が上がる・下がるという結論を読み取ることはできません。
② 就労系団体がヒアリングで述べた主な意見(第57回)#
第57回(令和8年6月26日)のヒアリング資料に基づき、就労系3団体の主な要望・提案・問題提起を整理します(団体が述べた意見であり、決まったことではありません)。
まず、自法人のサービス種別から該当する行を拾えるよう、サービス軸で一覧にします。詳細は表の下の団体別の項目を参照してください。
| サービス | ヒアリングで述べられた主な要望・指摘 | 述べた団体 |
|---|---|---|
| 就労継続支援B型 | 工賃向上評価の強化・現行の最上位を上回る区分の新設、手厚い人員配置(5:1・4:1)の評価、令和8年度の臨時見直しの影響検証 | セルプ協5 |
| 就労継続支援A型 | スコア方式の配点是正(生産活動9割:福祉的支援1割)、精神障害者の短時間労働への配慮、赤字事業所の評価見直し、手厚い人員配置区分の創設 | 全Aネット6、セルプ協5 |
| 就労移行支援 | 一般就労への送り出しで定員充足率が下がった事業所が不利にならない評価 | セルプ協5 |
| 自立訓練 | SIM(評価指標)の研修体系整備・普及、加算要件の緩和、身体障害者手帳要件の緩和、参入しやすい環境整備 | 全国障害者自立訓練事業所協議会7 |
| 就労系に共通 | 物価高騰・最低賃金上昇への対応、不適切事業所への指導監査の強化、自治体指導の適正化 | 3団体567 |
**全国社会就労センター協議会(セルプ協)**は、「持続可能な制度としていく」という視点から2つの柱・9項目を要望として提出しました5。主な内容は次のとおりです。
- B型の工賃向上に向けた評価の強化: 工賃平均額(最低基準)を現行の3,000円から段階的に引き上げること、「工賃向上計画未作成減算」「工賃平均額(最低基準)未達成減算」の導入検討、現行の最上位区分を上回る新たな上位区分(例:60,000円以上)の新設を要望5。
- 手厚い人員配置の評価: B型は現行「6:1」を超える「5:1」「4:1」、A型も同様の手厚い配置区分の創設を要望。あわせて「35時間以上の勤務実態を伴う常勤配置」を基本報酬上で評価する仕組みの導入を求めています5。
- 令和8年度の臨時的な見直しの影響検証: 「平均工賃額算定における開所日数については、単に事業所を開けている日ではなく、一定の利用実績および生産活動の実態を伴う日を算定対象とする」実態に即した取扱いと、「平均利用者(人)数が著しく少ない事業所」への算定上の最低ラインの設定・実地検査対象化を要望5。
- 物価高騰への対応: 食事提供体制加算の加算額引き上げと恒久的な制度化、送迎加算の単位数の適正化・充実を要望5。
- 不適切事業所への対応: 「障害分野における事業年数の浅い営利法人への重点的な指導監査(実地検査)」「指定就労継続支援事業所の新規指定及び運営状況の把握・指導のためのガイドライン順守の徹底」など、指定更新要件・指導監査の厳格化を要望5。
**就労継続支援A型事業所全国協議会(全Aネット)**は、A型事業の評価に用いる「スコア方式」を中心に意見を提出しました6。
- スコア配点のアンバランス是正: 「現行のスコアの配点は生産活動(就労機会の提供)が9割、福祉的支援(訓練等の支援)が1割」であるとし、自団体アンケートで「65%の事業所が点数配分の見直しが必要と回答した」と指摘。生産活動の配点を減らし福祉的支援の配点を増やすことを提案しています6。
- 精神障害者等の短時間労働への配慮: 「精神障害者の就労が増加しているが、その労働時間は他の障害に比べて短い」一方、現行のスコア方式は「単に平均労働時間が長ければ点数が高い配点」であり「精神障害者の受入れが阻害されている」と指摘6。改善策として、短時間労働を要する利用者の労働時間を計算上増加させる(例: 1.25倍)ことや、状態悪化時の一時的な短時間就労期間を平均労働時間の算出から除外することを提案しています6。
- 赤字事業所の評価見直し: 「生産活動収入が利用者賃金を下回っている(以下『赤字』)事業所については、赤字の程度がわずかであってもまったく評価をしない基準」であり「アンケートでもこの点の見直しを求める声が最も多かった」とし、赤字率・改善率による段階的評価や複数年度合算による赤字調整を提案しています6。
- 物価高騰・最低賃金上昇への対応: 「最近の物価高騰により、支援の費用に加え生産活動においても原材料費用等が上昇し、二重の打撃となっている」とし、最低賃金上昇や原材料高騰を織り込んだ報酬単価の設定、企業からの発注促進や優先調達法の活用促進、障害者雇用調整金・報奨金の適用継続を要望6。
- 自治体指導の適正化: 「自治体の指導については、新たなガイドラインの効果が期待されるが、人員、予算、ノウハウの不足は解消されておらず」効率的な指導が必要とし、書類審査の民間委託やAI審査の開発、ICT・AIを活用したモニタリング手法の開発を提案しています6。
全国障害者自立訓練事業所協議会は、令和6年度改定で加算対象となった評価指標「SIM(社会生活の自立度に関する評価指標)」の普及促進を中心に意見を提出しました7。
- SIM研修体系の整備: 「体系的なSIM研修の実施、自立訓練事業所の職員が広く受講できる仕組み作り等を行い、SIMの認知の拡大と活用促進を進めて頂きたい」と要望7。
- 加算におけるSIMの位置づけ見直し: 「SIMの加算取得の前提となっているリハビリテーション加算Ⅱ、個別計画訓練支援加算Ⅱ取得率が低く、SIMの実施が加算に反映されにくい状況がある」とし、「リハビリテーション加算Ⅱ、個別計画訓練支援加算Ⅱを取らなくともSIM加算28単位が取得できるようにする」等、反映されやすい仕組みの検討を求めています7。
- 病院からの利用手続きの簡略化(手帳要件の緩和): 「身体障害がある場合に身体障害者手帳の取得が自立訓練の利用要件となっている現状がある」ため、「診断書等の提出をもって暫定的にサービス利用を開始できる仕組み等、利用開始までのプロセスを迅速化できる方策」の検討を要望7。
- 自立訓練に参入しやすい環境整備: 令和6年度改定で病院・診療所等が機能訓練を実施できるようになったものの「事業所の数が広がっていない」と指摘し、参入を阻む要因の解明と参入促進、基準該当・共生型事業所への技術的支援によるサービス内容の統一を要望7。
なお、ヒアリングでは各団体が上記のような意見を述べていますが、これらが報酬改定に反映されるかどうかは今後の検討次第であり、現時点では何も決まっていません。
③ これまでの会合と今後のスケジュール#
令和9年度改定に向けた検討は、令和8年4月28日の第55回検討チームで正式にスタートし、そこで**検討の進め方(案)と関係団体ヒアリングの実施(案)**が示されました89。その後、実際にヒアリングが始まっています。
| 回 | 開催日 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 第55回 | 令和8年4月28日 | 検討の進め方(案)・ヒアリング実施(案)の提示89 |
| 第56回 | 令和8年6月15日 | 関係団体ヒアリング(第1回)10 |
| 第57回 | 令和8年6月26日 | 関係団体ヒアリング②(就労系3団体が登壇)11 |
| 第58回 | 令和8年7月3日 | 関係団体ヒアリング③(10団体)12 |
| 第59回 | 令和8年7月17日 | 関係団体ヒアリング④(9団体)13 |
| 第60回 | 令和8年7月27日 | 関係団体ヒアリング⑤14 |
| 第61回 | 令和8年8月3日 | 関係団体ヒアリング⑥(11団体)+報酬の名称変更の方針提示15 |
| 第62回 | 令和8年8月27日 | **主な論点(案)**の提示、ヒアリング意見のとりまとめ「主な意見」の提示、会議体名称の変更3142 |
📰 第61回の内容を詳しく:当事者団体が述べた就労系・児童系に関わる意見と、「障害福祉サービス等報酬」→「障害福祉報酬」への名称変更については令和9年度改定 検討チーム第61回|当事者団体の要望と「障害福祉報酬」への名称変更で解説しています。検討チームの名称は第62回(令和8年8月27日)から「障害福祉報酬改定検討チーム」に変わりました(開催要綱は令和8年8月20日改正)2。
関係団体ヒアリングは、6〜7回程度・令和8年6月〜8月に実施する方針で、1団体あたり質疑応答を含め15分程度(団体説明8分・質疑7分)、1回あたり8団体程度が予定されています9。就労系では上記3団体のほか、全国就業支援ネットワーク、全国就労移行支援事業所連絡協議会などを含む50以上の団体が対象として挙げられています9。
ヒアリングで各団体が意見を述べる際の意見聴取の視点として、資料6では次の6点が示されています9。
- 予算額が障害者自立支援法施行時から4倍以上に増加し、令和6年度改定後は総費用額が+12.1%の伸びとなる中、持続可能な制度とするための課題・対処方策
- 人材の確保・育成・専門性向上、業務の負担軽減・効率化に向けた課題・対処方策
- 令和6年度・令和8年度報酬改定後の経営状況、賃上げや物価等への対応状況
- 各地域で利用者が個々のニーズに応じたサービスを受けられる、過不足のないサービス提供体制確保に向けた課題
- より質の高いサービス提供に向けた課題・対処方策・評価方法(多様な主体の参入によるサービスの質のばらつきへの対処を含む)
- 地域生活の支援、重度化・高齢化への対応、他制度との連携強化その他の課題への対応方策
今後の検討は、第55回で示された次のスケジュール(案)で進むとされています8。「案」として示された日程であり、今後変更される可能性があります。
| 時期 | 内容(案) | 状況(2026年8月28日時点) |
|---|---|---|
| 令和8年5月〜7月 | 検討開始・関係団体ヒアリング | ✅ 実施済(第55〜61回) |
| 令和8年8月 | 関係団体ヒアリングの意見まとめ、論点整理 | ✅ 第62回(8月27日)で実施 ← いまここ14 |
| 令和8年9月 | 各サービスの報酬等の在り方について検討 | ◻️ 次の段階 |
| 令和8年11月 | サービス横断的な報酬等の在り方について検討 | ◻️ |
| 令和8年12月 | 報酬・基準に関する基本的な考え方の整理・取りまとめ、令和9年度政府予算編成 | ◻️ |
| 令和9年2月 | 障害福祉サービス等報酬改定案のとりまとめ | ◻️ |
| 令和9年3月 | 関係告示の改正、通知等の発出 | ◻️ |
| 令和9年4月以降 | 改定後の障害福祉サービス等報酬の適用 | ◻️ |
※ 資料5の原本では令和8年10月に対応する具体的な記載は確認できませんでした(9月・11月の検討作業の間の期間と見られます)。本記事では原資料に記載のある時期のみを掲載しています。
このスケジュール(案)どおりに進めば令和9年4月以降の適用となりますが、あくまで「進め方の案」段階であり、内容・時期とも確定ではありません。 最新の開催状況・資料は、厚生労働省「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」のページで随時公開されます。
④ 背景:検討チームとは/これまでの改定の経緯#
「障害福祉報酬改定検討チーム」(令和8年8月20日の開催要綱改正前の名称は「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」)は、障害福祉サービス等に係る報酬について改定の検討を行うため、厚生労働省及びこども家庭庁内で開催されている会議体です2。主査は厚生労働大臣政務官が務め、社会・援護局障害保健福祉部などの担当課とこども家庭庁の担当課で構成され、有識者「アドバイザー」11名が参画します(改正前の要綱では10名で、松原由美氏が加わりました)162。議事は公開とされています2。
障害福祉サービス等の報酬は、これまで概ね3年に一度の周期で本改定が行われてきました。直近の本改定は令和6年度改定(令和6年4月1日施行。就労選択支援に関する改定事項は令和7年10月1日施行)で、処遇改善分について2年分を措置し、3年目の対応は令和8年度予算編成過程で検討することとされていました17。これを受けて令和8年6月には、就労継続支援B型の基本報酬区分の見直しなどを含む期中改定が施行されています(詳細は別記事「令和8年6月施行の報酬改定を徹底解説」を参照)。今回の令和9年度改定は、この流れを受けた次の本改定にあたります。
⑤ 事業所が今できる備え#
制度内容の予測はできませんが、次期改定に向けて事業所側で一般的に準備しておくと良い実務対応はあります。
- 経営実態調査への対応準備: 過去の改定でも経営実態調査の結果が改定率の根拠資料として用いられてきました。決算数値や収支状況をいつでも整理・提出できる状態にしておくと、次期の実態把握にスムーズに対応できます。
- 工賃・賃金改善実績の記録整備(就労系事業所): 平均工賃月額の推移や処遇改善加算の賃金改善実績は、日頃から記録・保管しておくことが望ましい基礎資料です。
- 業界団体経由の意見発信ルートの確認: 自法人が加盟する団体がヒアリング対象に含まれているか確認し、現場の課題を伝える機会として活用できないか検討する。
- 一次情報の定点確認: 検討チームの資料は厚労省サイトで公開されています。論点整理と意見まとめは第62回(令和8年8月27日)で示されました。進め方(案)では令和8年9月に「各サービスの報酬等の在り方について検討」が行われるとされており、続報を定期的に確認する習慣を持つとよいでしょう。
⑥ まとめ#
令和9年度報酬改定は、令和8年6月から8月にかけて関係団体ヒアリングが行われ、第62回(令和8年8月27日)で「主な論点(案)」と「主な意見」が示された段階です。論点(案)は4本柱で、就労支援は「各サービスにおける適正な評価」の中で「更なる方策を検討すべきではないか」と提起され、想定される検討事項に「障害者の希望や能力に沿った就労支援を推進するための方策」「経過措置への対応」が挙げられました1。
ただし、論点(案)は「現時点のもの」であり「今後議論を進めていく中で変更することがあり得る」と明記されており、報酬改定の内容や方向性はまだ何も決まっていません1。進め方(案)では、令和8年9月に各サービスの報酬等の在り方の検討、令和9年3月に関係告示の改正、令和9年4月以降に改定後の報酬が適用されると示されています(いずれも「案」段階)。続報については、本記事を随時更新するとともに、厚生労働省の一次情報を確認するようにしてください。
Footnotes#
-
厚生労働省・こども家庭庁「令和9年度障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)」(第62回障害福祉報酬改定検討チーム 資料2、令和8年8月27日)p.1〜9 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16 ↩17 ↩18 ↩19 ↩20 ↩21
-
厚生労働省「『障害福祉報酬改定検討チーム』開催要綱」(第62回障害福祉報酬改定検討チーム 資料1、平成30年8月13日/令和8年8月20日改正)p.1 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
-
厚生労働省「第62回『障害福祉報酬改定検討チーム』資料」(令和8年8月27日開催) ↩ ↩2 ↩3
-
厚生労働省・こども家庭庁「令和9年度障害福祉報酬改定に関する主な意見」(第62回障害福祉報酬改定検討チーム 資料3、令和8年8月27日)表紙・目次 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
厚生労働省・こども家庭庁「令和9年度障害福祉サービス等報酬改定に関する意見」(第57回報酬改定検討チーム ヒアリング資料1、全国社会就労センター協議会、令和8年6月26日)p.3〜12 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11
-
全国就労継続支援A型事業所協議会(全Aネット)「ヒアリング資料4」(第57回報酬改定検討チーム、令和8年6月26日)p.5〜15 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10
-
全国障害者自立訓練事業所協議会「ヒアリング資料3」(第57回報酬改定検討チーム、令和8年6月26日)p.3〜4, p.17〜19 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
-
厚生労働省・こども家庭庁「令和9年度障害福祉サービス等報酬改定に向けた検討の進め方について(案)」(第55回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 資料5、令和8年4月28日)p.2 ↩ ↩2 ↩3
-
厚生労働省・こども家庭庁「障害福祉サービス等報酬改定に向けた関係団体ヒアリングの実施について(案)」(第55回報酬改定検討チーム 資料6)p.2〜3 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
厚生労働省「第56回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 資料」(令和8年6月15日開催) ↩
-
厚生労働省「第57回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 資料」(令和8年6月26日開催) ↩
-
厚生労働省「第58回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 資料」(令和8年7月3日開催・関係団体ヒアリング③) ↩
-
厚生労働省「第59回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 資料」(令和8年7月17日開催・関係団体ヒアリング④) ↩
-
厚生労働省「第60回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 資料」(令和8年7月27日開催・関係団体ヒアリング⑤) ↩
-
厚生労働省「第61回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 資料」(令和8年8月3日開催・関係団体ヒアリング⑥、資料1「障害福祉サービス等報酬の名称について」) ↩
-
厚生労働省「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 開催要綱」 p.1〜2 ↩
-
厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」 p.5, p.7 ↩