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【令和8年6月施行】障害福祉サービス報酬改定を徹底解説 — 処遇改善加算・B型基本報酬・新規事業所の3つの変更点

公開: 2026年6月23日更新: 2026年6月30日

令和8年6月施行 — 障害福祉報酬改定の3つのポイント#

令和8年6月1日から、障害福祉サービス等報酬の臨時改定が施行されます。今回の改定は「物価高騰への対応」と「福祉人材の確保」を目的としており、以下の 3つの柱 で構成されています。12

  1. 福祉・介護職員等処遇改善加算の加算率引上げ(全サービス対象)
  2. 就労継続支援B型の基本報酬区分の見直し(中間区分の新設)
  3. 新規事業所に係る報酬の適正化(基本報酬の引下げ特例)

本記事では、就労系サービス(就労選択支援・就労移行支援・就労継続支援A型・B型・就労定着支援)に焦点を当てて、改定内容を解説します。


処遇改善加算の加算率引上げ#

改定の概要#

令和6年度改定で一本化された「福祉・介護職員等処遇改善加算」の加算率が、物価上昇と人材確保の困難さを踏まえて引き上げられました。あわせて、生産性向上に取り組む事業所への上乗せ区分(「ロ」区分)が新設されています。1

新加算率テーブル(就労系5サービス)#

以下が令和8年6月施行の確定加算率です。1

サービスⅠイⅠロⅡイⅡロ
就労選択支援11.5%11.9%11.3%11.7%9.8%8.1%
就労移行支援11.5%11.9%11.3%11.7%9.8%8.1%
就労継続支援A型10.8%11.2%10.6%11.0%9.1%7.5%
就労継続支援B型10.5%10.9%10.3%10.7%8.8%7.4%
就労定着支援11.5%11.9%9.8%8.1%

※ 就労定着支援はⅡイ・Ⅱロの算定がありません(0/1000)。

※ 就労選択支援と就労移行支援は同一の加算率です。

「イ」と「ロ」の違い#

今回の改定で、全ての加算区分に 「イ」と「ロ」の2種類 が設けられました。1

区分要件差分
イ(従来型)処遇改善加算の基本要件を満たす
ロ(上乗せ型)上記に加え、生産性向上・協働化に係る取組を実施+0.4pt

「イ」と「ロ」は、加算額のうち基本給等への配分割合によって決まります。加算額の 2/3以上を基本給又は毎月支払われる手当 の改善に充てている場合は「イ」、それ以外の場合は「ロ」で算定します。1

※ Ⅲ・Ⅳには「ロ」区分はありません。従来どおり1区分のみです。

施設版(指定障害者支援施設)の加算率#

指定障害者支援施設でサービスを実施する場合、通常版とは異なる加算率が適用されます。特に Ⅱイ・Ⅱロは適用なし(0/1000) です。1

サービスⅠイⅠロⅡイⅡロ
就労継続支援B型(施設)11.6%12.0%9.8%8.1%
就労継続支援A型(施設)11.7%12.1%9.9%8.1%
就労移行支援(施設)11.9%12.3%10.1%8.3%

※ 施設版のⅠイ・Ⅰロは通常版より高い加算率が設定されています。施設入所者への支援に係る追加的なコストを考慮したものです。

令和6年度からの引上げ幅#

令和6年度改定時の加算率と比較した引上げ幅は以下のとおりです。2

サービス令和6年度 Ⅰ令和8年6月 ⅠイⅠロ引上げ幅(イ)引上げ幅(ロ)
就労移行支援10.4%11.5%11.9%+1.1pt+1.5pt
就労継続支援A型9.7%10.8%11.2%+1.1pt+1.5pt
就労継続支援B型9.4%10.5%10.9%+1.1pt+1.5pt
就労定着支援10.4%11.5%11.9%+1.1pt+1.5pt

全サービスで イ区分+1.1ポイント、ロ区分+1.5ポイント の引上げです。


B型 基本報酬の中間区分新設#

改定の背景 — 「クリフ問題」への対応#

令和6年度改定でB型の基本報酬は「区分基準額」(利用者の月額工賃÷利用日数)による評価方式に移行しました。しかし、区分間の単位数の差が大きく、わずかな基準額の違いで報酬が大きく変動する(いわゆる「クリフ問題」)が課題となっていました。2

旧5区分 → 新9区分への変更#

既存の5区分の間に 4つの中間区分 を新設し、合計 9区分 になりました。2

区分区分基準額の範囲備考
区分14万円以上変更なし
区分1-23万5千円以上4万円未満新設
区分23万円以上3万5千円未満基準変更
区分2-32万5千円以上3万円未満新設
区分32万円以上2万5千円未満基準変更
区分3-41万5千円以上2万円未満新設
区分41万円以上1万5千円未満基準変更
区分4-55千円以上1万円未満新設
区分55千円未満変更なし

単位数の比較(定員20人以下の場合)#

配置基準別の単位数比較です。1

区分サービス費(Ⅰ) 7.5:1サービス費(Ⅱ) 10:1施設版
区分1(4万円以上)837単位748単位682単位
区分1-2(3万5千円以上)812単位726単位662単位
区分2(3万円以上)758単位669単位611単位
区分2-3(2万5千円以上)738単位649単位594単位
区分3(2万円以上)726単位637単位572単位
区分3-4(1万5千円以上)705単位618単位557単位
区分4(1万円以上)673単位584単位532単位
区分4-5(5千円以上)590単位537単位490単位
区分5(5千円未満)

※ 上記は定員20人以下の場合です。全定員パターン(20人以下/21-40人/41-60人/61-80人/81人以上)の完全な単位数一覧は、別記事「就労継続支援B型 基本報酬 全単位数一覧表」をご覧ください。

中間区分の影響試算#

中間区分が新設されたことで、報酬の変動がより緩やかになります。

例:定員20人以下・7.5:1配置、区分基準額が3万8千円の事業所の場合

項目見直し前見直し後
該当区分区分2(3万5千円以上)区分1-2(3万5千円以上4万円未満)
単位数641単位672単位
差額+31単位/日

中間区分は区分基準額の判定結果に基づいて 自動的に適用 されるため、事業所が新たに届出を行う必要はありません。2


新規事業所に係る報酬の適正化#

対象サービスと引下げ率#

開設間もない事業所について、支援実績が蓄積されていない段階で高い報酬が算定されるケースへの対応として、基本報酬の引下げ措置が設けられます。2

対象サービス引下げ率実質引下げ率
就労継続支援B型984/1000▲1.6%
共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)972/1000▲2.8%
児童発達支援988/1000▲1.2%
放課後等デイサービス982/1000▲1.8%

※ 就労系サービスで対象となるのは B型のみ です。A型・移行・定着支援・選択支援は対象外です。

配慮措置(引下げ対象外となるケース)#

以下に該当する場合は、引下げ措置が適用されません(従前の報酬単価で算定)。2

重度障害者への配慮:

  • 医療連携体制加算(Ⅳ)を算定する事業所
  • 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定する事業所
  • 高次脳機能障害者支援体制加算を算定する事業所

地域への配慮:

  • 離島・中山間地域(特別地域加算の対象地域)にある事業所
  • 自治体が客観的に必要であるとして設置する事業所(公募による設置、自治体からの補助を受けた設置等)

その他 — 就労系サービスへの影響まとめ#

サービス基本報酬処遇改善加算新規事業所引下げ
就労継続支援B型区分見直し引上げ対象
就労継続支援A型変更なし引上げ対象外
就労移行支援変更なし引上げ対象外
就労定着支援変更なし引上げ対象外
就労選択支援変更なし引上げ対象外

各サービスとも、処遇改善加算の加算率引上げは共通して適用されます。基本報酬の区分見直しと新規事業所引下げは B型のみ が対象です。


出典#

Footnotes#

  1. 厚生労働省「令和8年度 障害福祉サービス費等の報酬算定構造(見直し箇所)」p.19-30 2 3 4 5 6 7

  2. 厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定 改定事項(説明会資料)」 2 3 4 5 6 7