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視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ・Ⅱ)の算定要件|令和6年度の2区分化と単位数を解説

更新: 2026年7月1日

視覚・聴覚言語障害者支援体制加算とは#

視覚・聴覚言語障害者支援体制加算は、視覚障害・聴覚障害・言語機能障害のある利用者を一定割合以上受け入れ、意思疎通に関する専門職員を配置している事業所を評価する加算です1

視覚や聴覚に重度の障害がある方は、日常的なコミュニケーションに大きな困難を抱えています。こうした利用者に対して手話通訳や点字などの専門的な支援を行うには、通常の人員配置に加えて専門職員の確保が必要です。この加算は、そうした体制を整えている事業所の追加的なコストを報酬上で評価する仕組みです。

令和6年度の報酬改定では、従来1区分だったこの加算が加算(Ⅰ)と加算(Ⅱ)の2区分に見直され、より手厚い支援体制を敷く事業所を高く評価できるようになりました2

加算区分と単位数#

区分単位数利用者割合要件専門職員の配置基準
加算(Ⅰ)51単位/日利用者の50%以上が重度の視覚・聴覚・言語機能障害者利用者数 ÷ 40 以上(常勤換算)
加算(Ⅱ)41単位/日利用者の30%以上が重度の視覚・聴覚・言語機能障害者利用者数 ÷ 50 以上(常勤換算)

加算(Ⅰ)と加算(Ⅱ)の併算定はできません。要件を満たす上位区分を届け出る形になります1

対象サービス#

視覚・聴覚言語障害者支援体制加算は、以下の障害福祉サービスで算定できます1

  • 生活介護
  • 自立訓練(機能訓練・生活訓練)
  • 就労移行支援
  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型

いずれのサービスでも、加算(Ⅰ)・加算(Ⅱ)の単位数は共通です。

算定要件の詳細#

加算(Ⅰ)の要件#

加算(Ⅰ)を算定するには、以下の2つの要件を両方満たす必要があります2

  • 利用者割合要件: 前年度の利用者のうち、視覚障害・聴覚障害・言語機能障害のいずれかに該当する重度障害者が50%以上であること
  • 専門職員配置要件: 視覚障害者等との意思疎通に関し専門性を有する職員を、利用者数を40で除した数以上(常勤換算)配置していること

加算(Ⅱ)の要件#

加算(Ⅱ)の要件は加算(Ⅰ)よりも緩和されており、以下の2つを両方満たすことが必要です2

  • 利用者割合要件: 前年度の利用者のうち、視覚障害・聴覚障害・言語機能障害のいずれかに該当する重度障害者が30%以上であること
  • 専門職員配置要件: 視覚障害者等との意思疎通に関し専門性を有する職員を、利用者数を50で除した数以上(常勤換算)配置していること

重度障害の定義#

加算の対象となる「重度の視覚・聴覚・言語機能障害者」とは、以下のいずれかに該当する方です1

  • 視覚障害: 身体障害者手帳の視覚障害の等級が1級または2級
  • 聴覚障害: 身体障害者手帳の聴覚障害の等級が2級
  • 言語機能障害: 身体障害者手帳の音声機能、言語機能またはそしゃく機能の障害の等級が3級以上

重複障害者の特例#

視覚障害・聴覚障害・言語機能障害のうち、2つ以上の重度障害に該当する利用者は、利用者割合の計算において1人を2人としてカウントできます1

たとえば、視覚障害1級かつ聴覚障害2級の利用者がいる場合、その方は利用者割合の分子において2人分として算定されます。

令和6年度改定のポイント#

令和6年度の報酬改定で、視覚・聴覚言語障害者支援体制加算は大きく見直されました2

旧制度(令和5年度以前)#

  • 単一区分: 41単位/日
  • 利用者割合要件: 30%以上
  • 専門職員配置: 利用者数 ÷ 50 以上

新制度(令和6年度以降)#

項目加算(Ⅰ)【新設】加算(Ⅱ)【旧制度の引き継ぎ】
単位数51単位/日41単位/日
利用者割合50%以上30%以上
専門職員配置利用者数 ÷ 40 以上利用者数 ÷ 50 以上

改定の趣旨は、視覚・聴覚・言語機能に重度の障害がある利用者を多く受け入れ、より手厚い専門職員体制を整えている事業所を一層評価することにあります2。従来の基準(30%以上・÷50以上)は加算(Ⅱ)としてそのまま残り、新たに上位区分として加算(Ⅰ)が創設されました。

意思疎通の専門職員とは#

加算の配置要件で求められる「視覚障害者等との意思疎通に関し専門性を有する職員」とは、以下のような資格・技能を持つ者を指します1

点字の知識を有する者#

視覚障害のある利用者に対して、点字による情報提供やコミュニケーション支援を行える職員です。点字の読み書きに習熟し、利用者に必要な情報を点字で提供できる能力が求められます。

手話通訳士・手話通訳者#

聴覚障害のある利用者に対して、手話によるコミュニケーション支援を行える職員です。「手話通訳士」は厚生労働大臣認定の資格であり、「手話通訳者」は都道府県が実施する手話通訳者養成研修を修了した者を指します。手話奉仕員(養成講座修了レベル)も一定の条件下で認められる場合があります3

言語聴覚士#

言語機能障害のある利用者に対して、言語訓練やコミュニケーション支援を行える国家資格保持者です。音声障害・構音障害・失語症などへの専門的対応が可能です。

これらの専門職員は、事業所の通常の人員配置基準(職業指導員・生活支援員等)とは別に配置する必要があります。ただし、通常の職員が上記の専門性を持っている場合は、その職員を兼務で算入することも可能です3

実務上の留意点#

体制届の提出#

加算を算定するには、事前に指定権者(都道府県または市町村)に**障害福祉サービスの体制届(加算届)**を提出する必要があります3。届出のタイミングは原則として毎年度の開始前ですが、年度途中で新たに要件を満たした場合は、翌月から算定を開始できます。

届出時に必要な主な書類は以下のとおりです。

  • 体制等に関する届出書(体制等状況一覧表)
  • 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算に係る届出書
  • 専門職員の資格証明書の写し(手話通訳士証、言語聴覚士免許証等)
  • 前年度の利用者における重度障害者の割合を示す資料
  • 専門職員の勤務形態一覧表(常勤換算の根拠)

利用者割合の計算方法#

利用者割合は、前年度の実績に基づいて計算します1。具体的には、前年度の利用者の総数に対する、視覚・聴覚・言語機能の重度障害者の数の割合です。

利用者割合 = 重度障害者数(重複障害の特例適用後)÷ 前年度の利用者総数 × 100

新規開設の事業所など、前年度の実績がない場合は、届出時点の利用者の状況に基づいて判断します。

重複障害者のカウント方法#

重複障害者のカウント特例を活用する場合の計算例を示します。

たとえば、利用者20人の事業所で、以下のような利用者構成だった場合を考えます。

  • 視覚障害1級: 3人
  • 聴覚障害2級: 4人
  • 視覚障害1級 かつ 聴覚障害2級: 1人(重複障害)
  • その他の利用者: 12人

重複障害者1人は2人としてカウントするため、分子は 3 + 4 + 1 × 2 = 9人 となります。

利用者割合 = 9 ÷ 20 × 100 = 45%

この場合、30%以上の要件を満たすため加算(Ⅱ)の算定が可能です。50%以上には達していないため、加算(Ⅰ)は算定できません。

専門職員の常勤換算#

専門職員の配置は常勤換算で判定します。常勤換算数は、各職員の週あたりの勤務時間を事業所の常勤職員の所定労働時間で除して算出します。

たとえば、利用者40人の事業所が加算(Ⅰ)を算定する場合、必要な専門職員数は 40 ÷ 40 = 1.0人(常勤換算)以上です。週32時間勤務の手話通訳者がいる場合(所定労働時間40時間)、常勤換算値は 32 ÷ 40 = 0.8 となり、この職員1人では要件を満たしません。追加の専門職員配置が必要です。

よくある質問#

Q. 加算(Ⅰ)と加算(Ⅱ)を同時に算定できますか?#

加算(Ⅰ)と加算(Ⅱ)の併算定はできません。加算(Ⅰ)の要件を満たす場合は加算(Ⅰ)を、加算(Ⅰ)の要件は満たさないが加算(Ⅱ)の要件を満たす場合は加算(Ⅱ)を届け出ます1

Q. 手話奉仕員は「意思疎通の専門職員」に含まれますか?#

手話通訳士や手話通訳者(都道府県認定)が原則的な対象ですが、手話奉仕員養成講座を修了した者についても、自治体の判断により認められる場合があります。指定権者に事前に確認することを推奨します3

Q. 就労定着支援でもこの加算を算定できますか?#

就労定着支援は対象サービスに含まれていません。対象となるのは生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援A型・B型などの日中活動系サービスです1

Q. 年度途中で利用者割合が基準を下回った場合はどうなりますか?#

加算の算定要件は前年度の実績に基づいて年度単位で判定するため、年度途中で利用者構成が変わっても、当該年度中は引き続き算定できます。ただし、翌年度の届出時に改めて前年度実績で要件を満たすかを確認する必要があります3

Q. 通常の職業指導員が手話通訳の資格を持っている場合、専門職員としてカウントできますか?#

可能です。通常の人員配置基準上の職業指導員や生活支援員が手話通訳士等の専門資格を持っている場合、その職員を意思疎通の専門職員として兼務で算入できます。ただし、常勤換算上の配置要件は満たす必要があります3

Footnotes#

  1. 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(令和6年改正) 2 3 4 5 6 7 8 9

  2. 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」p.37 2 3 4 5

  3. 厚生労働省「障害福祉サービス等報酬に関するQ&A」(令和6年4月版) 2 3 4 5 6