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B型の平均工賃月額の計算方法|令和6年度の新算定式・開所日数・小数点処理を解説

公開: 2026年7月22日更新: 2026年8月19日
📑 目次(28項目)

就労継続支援B型の平均工賃月額は、基本報酬の区分(単位数)を直接決める数字です。令和6年度報酬改定で算定式が「工賃支払対象者ベース」から「1日当たり平均利用者数ベース」へ全面的に変わり、旧方式の除外要件は廃止されました[^2]。さらにこの算定式変更で全国の平均工賃月額が約6,000円上昇したため、令和8年6月に基本報酬の区分基準そのものが見直されるという連鎖も起きています[^3]。本記事では、現行の算定式・開所日数の数え方・小数点の処理・特例(除外と加算)を、一次資料の記載に沿って計算例つきで整理します。

現行の算定式(結論)#

前年度の平均工賃月額は、次の3ステップで算出します[^1]。

  1. (ア)前年度における工賃支払総額を算出する
  2. (イ)前年度における開所日1日当たりの平均利用者数を算出する:前年度の延べ利用者数 ÷ 前年度の年間開所日数
  3. (ウ)平均工賃月額を算出する:工賃支払総額(ア)÷ 開所日1日当たりの平均利用者数(イ)÷ 12月

計算例#

前年度の工賃支払総額が360万円、延べ利用者数2,935人、年間開所日数200日の場合 (イ)2,935人 ÷ 200日 = 14.675人 → 14.7人(小数点第2位を切り上げ) (ウ)3,600,000円 ÷ 14.7人 ÷ 12月 = 20,408.16…円 → 平均工賃月額 20,408円(円未満四捨五入)

この平均工賃月額を、就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)〜(Ⅲ)の区分表(4.5万円以上〜1万円未満等の階級)に当てはめて基本報酬が決まります。区分ごとの単位数は「就労継続支援B型の報酬体系」を、自事業所の数字での試算は「B型基本報酬シミュレータ」をご覧ください。

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開所日数の数え方(見落としやすい)#

分母に使う「年間開所日数」は、原則として工賃の支払いが生じる生産活動の実施日を数えます。レクリエーションや行事等、生産活動を目的としていない日は開所日として数えません。ただし、地域のバザー等の行事で利用者が作成した生産品等を販売した場合は、開所日として算定して差し支えないとされています[^2]。

生産活動のない日を開所日に含めてしまうと分母の平均利用者数が小さくなり、平均工賃月額が実態より高く算出されて誤った(高すぎる)報酬区分で請求するリスクがあります。開所日カレンダーの管理は「営業日」ではなく「生産活動実施日」で行う必要があります。

小数点の処理#

端数処理は次のとおり定められています[^2]。

対象処理
開所日1日当たりの平均利用者数小数点第1位まで算出し、第2位以降がある場合は第2位を切り上げ(例:14.679人 → 14.7人)
平均工賃月額円未満を四捨五入

平均利用者数は「切り上げ」(=分母が大きくなり平均工賃月額は低めに出る方向)、平均工賃月額は「四捨五入」と、処理が異なる点に注意してください。

特例|除外する利用者と加算できる場合#

一般就労中の一時的利用者は除外する#

通常の事業所に雇用されている利用者が、就労に必要な知識・能力の向上のための支援を一時的に受ける場合、その利用者は平均工賃月額の算出から除きます[^1]。一時的利用の要件は「一般就労中の障害福祉サービスの一時的利用」で解説しています。

重度者支援体制加算(Ⅰ)算定事業所は+2,000円できる#

報酬告示第14の12のイの重度者支援体制加算(Ⅰ)を算定している場合は、算出した平均工賃月額に2,000円を加えた額を、就労継続支援B型サービス費を算定する際の平均工賃月額とすることができます[^1]。

ここは古い情報が流通しやすいポイントです。令和5年度以前の方式では「障害基礎年金1級受給者が半数以上いる場合は+2,000円」という直接の規定でしたが[^3]、現行の留意事項通知では重度者支援体制加算(Ⅰ)の算定が条件になっています(同加算(Ⅰ)の要件が前年度の障害基礎年金1級受給者50%以上です。詳細は「重度者支援体制加算」を参照)[^1]。

旧方式の除外要件は廃止された#

令和5年度以前の算定方式にあった除外要件(月途中の利用開始・終了、入院、長期欠席、複数の日中活動サービス利用者、通年・毎週通院者などを工賃支払対象者から除く扱い)は、新算定式の導入に伴い廃止されました[^2][^3]。旧方式の除外リストを前提とした管理台帳を使い続けている場合は、様式の見直しが必要です。

利用日数が少ない利用者を受け入れると平均工賃が下がってしまう問題は、除外要件ではなく「延べ利用者数を分母にする」という新算定式の構造自体で調整される設計に変わっています[^3]。

なぜ令和8年6月に区分基準が見直されたのか#

新算定式の導入により、全国の平均工賃月額は約6,000円上昇しました。その結果、想定以上に高い報酬区分の事業所の割合が増加したことから、令和8年6月施行の告示改正で基本報酬区分の基準の見直しが行われています[^3]。自事業所の平均工賃月額が同じでも、当てはまる区分の閾値が変わっている可能性があるため、令和8年6月以降の請求では最新の区分表(「B型の報酬体系」に反映済み)で確認してください。

届出のタイミングと年度途中の扱い#

平均工賃月額に基づく区分の届出は、原則毎年度の4月に行います。年度途中に新規に指定された事業所は、当該年度において初めて基本報酬を算定する前までに届出を行います。また、就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)〜(Ⅲ)(平均工賃月額方式)を算定する場合は、工賃向上計画基本指針に基づく工賃向上計画の都道府県への提出が必要です[^1]。

いったん区分を届け出た後の年度途中の区分変更は、原則想定されていません(人員配置の変更に伴う変更〔サービス費(Ⅰ)から(Ⅱ)への変更等〕は除きます)[^1]。前年度実績で決まった区分は、原則その年度を通して適用されます。

新規指定事業所の特例(開設6か月実績)#

前年度実績のない新規指定事業所には、次の特例があります[^1]。

  • 初年度の1年間(年度途中に指定された事業所は初年度及び2年度目の1年間)は、平均工賃月額が1万円未満の場合であるとみなして基本報酬を算定する
  • ただし、支援の提供を開始してから6月経過した月から当該年度の3月までの間は、開始からの6月間における平均工賃月額に応じて基本報酬を算定することができる

つまり新設事業所は、最初は最も低い区分でスタートしますが、開設6か月の工賃実績がまとまった時点で、年度途中でも実績に応じた区分に切り替えられる設計です。「B型は半年で区分を見直せる」と言われることがあるのはこの特例のことで、既存事業所の原則(前年度実績・年度単位)とは別の規定です。6月実績による算定の具体的な届出手続きは指定権者に確認してください。

前年度に代えて前々年度実績を使える特例#

次の場合には、前年度に代えて前々年度の平均工賃月額を基本報酬の算定区分とすることができます(いずれも現行の新算定式で算出した額を用います)[^1]。

  • 原材料費等の高騰により年間の直接経費に著しい変動があった場合など、同一都道府県内のB型事業所のうち8割の事業所において工賃実績が低下し、都道府県がやむを得ないと認めた場合(都道府県内全ての事業者に適用)
  • 激甚災害の指定を受けた地域又は災害救助法適用地域に事業所が所在し、生産活動収入の減少により工賃支払額が減少する場合(災害の間接的な影響によることが明らかであると都道府県等が認めた場合を含む)

賞与・手当・施設外就労の工賃はどう算入されるのか#

賞与・手当は年間総額に算入され、12月で均される#

計算に用いる「工賃」の範囲は、工賃、給与、手当、賞与その他名称を問わず、事業者が利用者に支払うすべてのものと定義されています[^5]。年1回の賞与や一時金も、支給月の工賃支払額として年間の工賃支払総額(ア)に算入されます。

算定式は年間の工賃支払総額を開所日1日当たり平均利用者数と12月で割る構造のため、賞与が特定の月の「平均工賃」だけを押し上げるという概念は、報酬算定上存在しません。留意事項通知の計算例も、各月の工賃支払額(賞与を含む月はその分大きくなる)を単純合計して年間総額を作る形で示されています[^5]。月次の工賃台帳では支給月に計上し、区分判定・都道府県への実績報告は年間ベースで行う、という整理になります。

施設外就労・在宅利用の工賃も含まれる#

平均工賃月額の算定対象は、(一般就労中の一時的利用者を除く)利用者に支払った工賃の1月当たりの平均額です[^6]。施設外就労(企業から請け負った作業を企業内で行う形態)で就労する利用者に支払う工賃も、在宅利用者に支払う工賃も、名称を問わずすべて工賃支払総額に含まれます[^5]。施設外就労では、利用者と事業所との関係は事業所の施設内で行われる作業の場合と同様とされており、請負契約に基づき企業から法人に支払われる報酬が工賃の原資になります[^5]。

なお、分母となる「延べ利用者数」について、短時間利用の日を按分するといった規定は通知にありません(利用日数ベースの人数で数えます)。具体的な集計方法で迷う場合は、都道府県の工賃実績報告様式・記載要領で確認してください。

前提となる工賃支払いの基礎ルール#

平均工賃月額の計算の前提として、B型の工賃には次の基礎ルールがあります(指定基準第201条)[^4]。

  • 生産活動に係る事業の収入から必要な経費を控除した額に相当する金額を、工賃として支払わなければならない(原則全額分配)
  • 利用者それぞれに支払われる1月当たりの工賃の平均額は3,000円を下回ってはならない。この基準を満たさない事業所には重点的な指導監査が実施され、改善の見込みがない場合は勧告・命令等の措置があり得ます[^5]
  • 年度ごとに工賃の目標水準を設定し、目標水準と前年度の平均額を利用者に通知するとともに都道府県に報告しなければならない

工賃向上計画と目標工賃達成加算の関係は「目標工賃達成加算」で扱っています。なお、目標工賃達成加算の判定に使う目標工賃額は、工賃向上計画で定めた額を指し、要件を満たすために計画期間の途中で計画を修正することも差し支えないとされています[^2]。

実務チェックリスト#

  • 開所日カレンダーを「生産活動実施日」基準で管理しているか(レク・行事日を分母に入れていないか。バザー等の販売日は算入可)
  • 延べ利用者数・工賃支払総額を月次で集計し、年度末に3ステップの計算を検算できる台帳になっているか
  • 端数処理(平均利用者数=小数点第2位切り上げ/平均工賃月額=円未満四捨五入)を請求担当者と共有しているか
  • 一般就労中の一時的利用者を計算から除外しているか
  • 重度者支援体制加算(Ⅰ)を算定している場合、+2,000円の適用を検討したか(「年金1級半数以上なら自動で+2,000円」という旧ルールの理解のままになっていないか)
  • 旧方式の除外要件(入院・長期欠席等)を前提とした様式を使い続けていないか
  • 令和8年6月以降の区分表で自事業所の区分を再確認したか

よくある質問#

Q. 平均工賃月額の計算式はどう変わったのですか?#

令和5年度以前は「工賃総額÷各月の工賃支払対象者の総数」で算出していましたが、令和6年度からは「年間工賃支払総額÷(年間延べ利用者数÷年間開所日数)÷12月」に変わりました。障害特性等により利用日数が少ない方を多く受け入れる事業所に配慮した見直しで、旧方式の除外要件は廃止されています[^2][^3]。

Q. レクリエーションで開所した日は開所日数に入れますか?#

入れません。開所日数は原則として工賃の支払いが生じる生産活動の実施日を数え、レクリエーションや行事等、生産活動を目的としない日は除きます。ただし地域のバザー等で利用者の生産品を販売した日は開所日として算定できます[^2]。

Q. 障害基礎年金1級の利用者が半数以上いれば2,000円を加算できますか?#

現行の規定では、加算の条件は「重度者支援体制加算(Ⅰ)を算定していること」です。同加算(Ⅰ)の要件が前年度の障害基礎年金1級受給者50%以上なので結果的に重なりますが、平均工賃月額への+2,000円は加算の算定を経由する規定になっています[^1]。

Q. 端数はどう処理しますか?#

開所日1日当たりの平均利用者数は小数点第1位まで算出し、第2位以降がある場合は第2位を切り上げます(14.679人→14.7人)。平均工賃月額は円未満を四捨五入します[^2]。

Q. 区分は年度の途中で変わりますか?#

原則変わりません。区分の届出は毎年度4月で、届出後の年度途中の区分変更は原則想定されていません(人員配置の変更に伴う変更を除く)[^1]。

Q. 新しく開設した事業所はどの区分になりますか?#

新規指定の初年度1年間(年度途中指定は初年度と2年度目)は、平均工賃月額1万円未満の場合とみなして算定します。ただし支援開始から6月経過した月以降は、開設からの6か月間における平均工賃月額に応じた区分で算定することができます[^1]。

Q. 年1回の賞与を支払うと、その月の平均工賃だけが上がるのですか?#

いいえ。報酬区分の判定に用いる平均工賃月額は、賞与を含む年間の工賃支払総額をもとに算出し、12月で均します。賞与は名称を問わず工賃に含まれ、支給月の支払額として年間総額に算入されます[^5]。「支給月だけ平均工賃が跳ねる」という扱いは報酬算定上ありません。

Q. 施設外就労や在宅利用の利用者の工賃も計算に入りますか?#

入ります。工賃は「名称を問わず事業者が利用者に支払うすべてのもの」であり[^5]、平均工賃月額は(一時的利用者を除く)利用者に支払った工賃の1月当たり平均額です[^6]。施設外就労の請負収入から支払う工賃も、在宅利用者への工賃も含めて集計します。

Q. 平均工賃月額が3,000円を下回るとどうなりますか?#

指定基準第201条第2項により、利用者それぞれに支払われる1月当たりの工賃の平均額は3,000円を下回ってはならないとされています。満たしていない事業所には重点的な指導監査が実施され、指導後も改善の見込みがない場合には地域活動支援センターへの移行や、法に基づく勧告・命令等の措置が講じられます[^4][^5]。

制度上の根拠#

  • 留意事項通知(就労継続支援B型サービス費・平均工賃月額の算出方法)[^1]
  • 令和6年度報酬改定Q&A Vol.2 問24・問25(開所日数・小数点・工賃向上計画)[^2]
  • 令和8年度報酬改定における改定事項(算定式の新旧対照・区分基準見直し)[^3]
  • 指定基準第201条(工賃の支払等)[^4]・就労系留意事項通知(工賃の範囲・工賃実績の報告・施設外就労・3,000円未達への指導)[^5]
  • 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第14(平均工賃月額の定義・一時的利用者の除外)[^6]

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