A型B型

就労移行連携加算の算定要件と連携の実務ポイントを解説

公開: 2026年6月19日更新: 2026年6月30日

就労移行連携加算とは — 制度の基本ルール#

就労移行連携加算は、就労継続支援A型・B型や生活介護等の日中活動系サービスを利用している利用者が、就労移行支援事業所や就労選択支援事業所を経て一般就労へ移行した場合に、元の事業所に対して算定できる加算です1

この加算は、利用者の一般就労への移行を日中活動系事業所が積極的に支援・連携した実績を評価するものです。

単位数と算定単位#

加算名単位数算定単位
就労移行連携加算274単位1回につき

就労移行連携加算は、利用者が一般就労に移行した場合に1回限り算定する加算です。月額加算ではなく、移行実績に対する一時的な報酬です1


算定要件チェックリスト#

就労移行連携加算を算定するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります2

利用者に関する要件#

  • 当該事業所を利用していた利用者であること
  • 就労移行支援事業所または就労選択支援事業所に移行したこと
  • 就労移行支援等の利用を経て一般就労に移行したこと

事業所の連携に関する要件#

  • 当該事業所が就労移行支援事業所等と連携して利用者の一般就労を支援したこと
  • 具体的には、就労移行支援事業所との情報共有・カンファレンスの実施、利用者の就労に向けた支援方針の協議等を行っていること
  • 連携の内容を記録として保存していること

算定時期#

  • 利用者が一般就労に移行した日の属する月に算定
  • 退所月の翌月以降に一般就労に移行した場合は、一般就労に移行した月に算定

対象サービス#

就労移行連携加算は、以下のサービスで算定できます1

  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型
  • 生活介護
  • 自立訓練(機能訓練・生活訓練)

就労移行支援事業所自体はこの加算の対象外です。就労移行支援には別途「就労移行支援体制加算」が設けられています。


実務上の注意点#

連携の記録を確実に残す#

就労移行連携加算の算定では、元の事業所と就労移行支援事業所等との連携の事実を証明する記録が不可欠です。以下の内容を記録してください2

  • 連携先の就労移行支援事業所名
  • 連携開始日と連携内容の経過
  • カンファレンス(支援会議)の実施日・参加者・協議内容
  • 利用者に関する情報提供の内容(個別支援計画、アセスメント情報等)
  • 一般就労の移行先企業名と移行日

一般就労の定義に注意#

就労移行連携加算における「一般就労」とは、雇用契約に基づく企業等での就労を指します。以下は一般就労に含まれません2

  • 就労継続支援A型事業所での就労(福祉サービス利用であり一般就労ではない)
  • 自営業・起業(一部の自治体では対象とする場合あり。指定権者に確認が必要)

他の加算との関係#

加算併算定
就労移行支援体制加算対象外(就労移行支援事業所の加算)
送迎加算可(退所月まで)
処遇改善加算

1回限りの算定#

就労移行連携加算は、同一の利用者に対して1回限りの算定です。利用者が一般就労を離職して再度事業所を利用し、再び一般就労に移行した場合は、改めて算定できるかどうか指定権者に確認してください2


算定を漏らさないための仕組みづくり#

就労移行連携加算は対象となるケースが限定的なため、算定漏れが発生しやすい加算です。以下の仕組みを整えましょう。

退所者のフォロー体制#

  • 就労移行支援事業所等に移行した利用者の追跡リストを作成する
  • 移行先の就労移行支援事業所と定期的に情報交換を行い、一般就労への移行状況を把握する
  • 一般就労に移行した時点で速やかに加算の算定手続きに入る

請求事務のチェック#

  • 退所者の一般就労移行情報を請求担当者に共有する体制を構築する
  • 請求ソフトに就労移行連携加算のコードを登録しておく

経営効果#

就労移行連携加算は1回274単位と高単位ですが、対象ケースが限られるため、事業所の収益に与える影響は大きくありません。しかし、利用者の一般就労を支援する姿勢が加算として評価される制度であり、事業所の支援の質を示す指標として活用できます。

また、一般就労への移行実績は、就労継続支援A型・B型における就労移行支援体制加算(別の加算)の算定にもつながるため、中長期的には事業所の報酬全体に好影響を与えます。


よくある質問#

Q. 就労移行支援を経ずに直接一般就労した場合も算定できますか?#

算定できません。就労移行連携加算は、利用者が就労移行支援事業所または就労選択支援事業所の支援を経て一般就労に移行した場合に限り算定できます2。直接一般就労した場合は、「就労移行支援体制加算」の対象となる可能性がありますので、そちらを確認してください。

Q. 就労選択支援事業所を経由した場合も対象ですか?#

対象です。令和7年10月から施行される就労選択支援(令和7年度創設)を経由して一般就労に移行した場合も、就労移行連携加算の算定対象となります1

Q. 連携先の事業所が他市区町村にある場合も算定できますか?#

算定できます。連携先の就労移行支援事業所の所在地は問いません。ただし、連携の実績(カンファレンスの実施、情報共有等)を記録として残す必要があります2

Q. 利用者の退所後に一般就労が決まった場合、いつ算定しますか?#

利用者が一般就労に移行した日の属する月に算定します。退所から一般就労までに期間が空いた場合でも、就労移行支援等の支援を経て一般就労に至った事実があれば算定可能です2


就労選択支援(令和7年度創設)との関係#

令和7年10月に施行された就労選択支援は、障害者が就労系サービスを選択する際の支援を行う新しいサービスです。この制度の創設により、就労移行連携加算の対象範囲が拡大しています1

就労選択支援を経由した一般就労#

従来の就労移行連携加算は「就労移行支援事業所を経て一般就労に移行」した場合のみが対象でしたが、令和7年度以降は就労選択支援事業所を経由した場合も算定対象に含まれています。

就労系サービスの連携の全体像#

就労移行連携加算は、日中活動系事業所と就労移行支援事業所の連携を促進する制度的な仕組みです。今後、就労選択支援の普及により、利用者の一般就労への移行ルートが多様化することが見込まれます。

事業所としては、就労移行支援事業所だけでなく、就労選択支援事業所や就労定着支援事業所とのネットワーク構築が、加算の算定機会の拡大につながります。


Footnotes#

  1. 厚生労働省「令和8年6月施行 障害福祉サービス費等の報酬算定構造」 2 3 4 5

  2. 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに留意すべき事項等について」(留意事項通知) 2 3 4 5 6 7