就労移行連携加算とは — 制度の基本ルール#
就労移行連携加算は、就労継続支援A型・B型の事業所が、その利用者を就労移行支援へ円滑に橋渡しするための支援を行った場合に、当該A型・B型事業所に対して算定できる加算です1。
ポイントは、この加算が評価するのは「一般就労への移行の実績」ではなく、利用者が就労移行支援を利用できるようにするための、支給決定前後の連携・情報提供の取組である点です。就労継続支援を利用していた人が、より一般就労に近い就労移行支援へ段階的にステップアップする際、送り出し側の事業所が丁寧な引き継ぎを行うことを促す仕組みです。
単位数と算定単位#
| 加算名 | 単位数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 就労移行連携加算 | 1,000単位 | 1回につき |
就労移行連携加算は、対象となる利用者についてサービス提供の最終月に1回算定します1。月々継続して算定する加算ではありません。
対象サービス#
就労移行連携加算を算定できるのは、以下のサービスです1。
- 就労継続支援A型(報酬告示 第13の3の2)
- 就労継続支援B型(報酬告示 第14の3の2。算定要件はA型の規定を準用)
生活介護や自立訓練など、就労継続支援以外のサービスにはこの加算は設けられていません。送り出し側が就労継続支援A型・B型、受け入れ側が就労移行支援という関係が前提です。
算定要件#
就労継続支援A型の算定要件は次のとおりで、就労継続支援B型はこれを準用します2。
就労移行支援の支給決定を受けた利用者がいる事業所において、当該支給決定に先立ち、次のような支援を実施した場合に算定します。
- 就労移行支援事業所の見学への同行や、就労移行支援事業者との事前の連絡調整を行うこと
- 当該支給決定に係るサービス等利用計画を作成する特定相談支援事業所に対し、利用者の同意のもと、当該事業所での支援の状況等の情報を文書により提供すること
- こうした、利用者が円滑に就労移行支援を利用できるようにするための支援を実施すること
これらの支援を行ったうえで、当該就労継続支援A型・B型事業所におけるサービス提供の最終月に、所定単位数(1回1,000単位)を算定します2。
⚠️ 算定できない2つのケース#
報酬告示には、留意事項通知に書かれていない除外規定と不算定規定があります3。どちらも該当すると算定できません。
① 過去3年以内に就労移行支援の支給決定を受けていた場合#
告示の但書です3。
ただし、当該利用者が、当該支給決定を受けた日の前日から起算して過去3年以内に就労移行支援に係る支給決定を受けていた場合は加算しない。
今回の支給決定を受けた日の前日から起算して過去3年をさかのぼり、その間に就労移行支援の支給決定を受けたことがある利用者は対象外です。就労移行支援の利用歴がある人がA型・B型を経て再び就労移行支援へ移る場合が典型で、支給決定の履歴を確認しないと判定できません。
② 一般就労中の一時的利用として受けていた利用者#
対象者の定義そのものに除外が置かれています3。
指定就労継続支援A型事業所等における指定就労継続支援A型等を受けた後就労移行支援に係る支給決定を受けた利用者(通常の事業所に雇用されている利用者であって、労働時間の延長又は休職からの復職の際に就労に必要な知識及び能力の向上のための支援を一時的に必要とするものとして指定就労継続支援A型等を受けたものを除く。)
すでに一般就労している人が、労働時間の延長や復職に向けて一時的にA型・B型を利用していた場合、その利用者は加算の対象になりません。
算定の可否チェック#
| 確認事項 | 算定 |
|---|---|
| 過去3年以内に就労移行支援の支給決定を受けていない | ○ |
| 過去3年以内に就労移行支援の支給決定を受けていた | ×3 |
| 通常のA型・B型利用者 | ○ |
| 一般就労中の一時的利用(労働時間延長・復職支援)として利用していた | ×3 |
要件を満たすための実務ポイント#
- 「支給決定に先立ち」行う支援が要件です。利用者が就労移行支援の利用を検討し始めた段階から、見学同行・連絡調整に着手します。
- 支援に着手する前に、その利用者が過去3年以内に就労移行支援の支給決定を受けていないかを確認します(受けていれば算定できません)3。
- 特定相談支援事業所への情報提供は、利用者の同意を得たうえで、文書により行う必要があります。口頭のみの引き継ぎでは要件を満たしません。
- 提供する情報は、当該事業所での支援状況等(本人の状況・これまでの支援経過など、就労移行支援での支援に資する内容)です。
記録・書類の整備#
算定の根拠として、次の記録を整備しておきます2。
- 就労移行支援事業所への見学同行・事前連絡調整の実施記録(日時・相手方・内容)
- 特定相談支援事業所へ提供した情報の文書の写しと、利用者の同意を得たことがわかる記録
- 就労移行支援の支給決定に関する確認資料
- 過去3年以内に就労移行支援の支給決定を受けていないことを確認した記録3
よくある質問#
Q. この加算は「利用者が一般就労した」ことに対する加算ですか?#
いいえ。就労移行連携加算は、利用者が就労移行支援へ移行する際の橋渡しの支援を評価する加算です。一般就労(企業等への雇用)そのものを要件とするものではありません2。
Q. 就労移行支援を利用したことがある人でも算定できますか?#
過去3年以内に就労移行支援に係る支給決定を受けていた場合は算定できません3。起算点は「当該支給決定を受けた日の前日」で、そこから3年をさかのぼります。3年より前であれば算定の対象になり得ます。
Q. 一般就労中の一時的利用の人にも算定できますか?#
できません。通常の事業所に雇用されている利用者であって、労働時間の延長又は休職からの復職の際に就労に必要な知識及び能力の向上のための支援を一時的に必要とするものとしてA型・B型を利用していた場合、その利用者は対象から除かれています3。
Q. どのサービスが算定できますか?#
就労継続支援A型・B型が算定できます。生活介護・自立訓練・就労移行支援などには設けられていません1。
Q. いつ算定しますか?#
対象となる利用者に対する、当該事業所でのサービス提供の最終月に算定します。就労移行支援へ移行するために当該事業所の利用が終了する月、というイメージです2。
Q. 特定相談支援事業所への情報提供は口頭でもよいですか?#
いいえ。利用者の同意のもと、文書により情報提供することが要件です2。
Footnotes#
-
厚生労働省「介護給付費等単位数サービスコード表(令和8年6月施行版)」および「令和8年6月施行 障害福祉サービス費等の報酬算定構造」(就労移行連携加算 1回につき1,000単位) ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
厚生労働省「令和6年度 費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」就労継続支援A型(報酬告示第13の3の2)p.280/就労継続支援B型(第14の3の2、A型の規定を準用)p.295 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
-
厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号)別表介護給付費等単位数表 第13の3の2(就労移行連携加算) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9