医療連携体制加算とは — 制度の基本ルール#
医療連携体制加算は、障害福祉サービス事業所が看護職員を配置または訪問看護ステーション等と連携して、利用者に対する日常的な健康管理や医療的ケアを提供する体制を整えた場合に算定できる加算です1。
障害福祉サービスの利用者の中には、日常的に医療的ケア(喀痰吸引、経管栄養、バイタルサイン確認等)が必要な方がいます。この加算は、そうした利用者への適切な対応体制を確保した事業所を評価するものです。
6つの区分と単位数#
医療連携体制加算は、看護職員の配置形態やケア内容に応じて6つの区分があります1。
| 区分 | 単位数 | 算定単位 | 主な要件 |
|---|---|---|---|
| 加算(Ⅰ) | 32単位 | 1日につき | 看護職員が事業所を訪問して利用者に看護を提供(利用者1人の場合) |
| 加算(Ⅱ) | 16単位 | 1日につき | 看護職員が事業所を訪問して利用者に看護を提供(利用者2人以上の場合) |
| 加算(Ⅲ) | 100単位 | 1日につき | 看護職員が認定特定行為業務従事者に喀痰吸引等の指導を行った場合 |
| 加算(Ⅳ) | 500単位 | 1日につき | 人工呼吸器装着者等の超重症児(者)に対する看護を提供 |
| 加算(Ⅴ) | 100単位 | 1月につき | 看護職員との連携により日常的な健康管理体制を整備 |
| 加算(Ⅵ) | 250単位 | 1日につき | 看護職員が利用者に対して認定特定行為を実施 |
各区分の詳細と算定要件#
加算(Ⅰ)・(Ⅱ) — 訪問看護の提供#
医療連携体制加算(Ⅰ)・(Ⅱ)は、看護職員が事業所を訪問して利用者に看護を提供した場合に算定します2。
| 要件 | 加算(Ⅰ) | 加算(Ⅱ) |
|---|---|---|
| 看護の提供 | 必要 | 必要 |
| 対象利用者数 | 1人 | 2人以上 |
| 看護職員 | 看護師または准看護師 | 同左 |
| 派遣元 | 訪問看護ステーション・病院・診療所等 | 同左 |
- 訪問看護ステーション等との連携契約が必要です
- 看護内容には、バイタルサイン確認、服薬管理、健康相談等が含まれます
- 加算(Ⅱ)は利用者2人以上を対象とした場合に算定し、1人あたりの単位数は加算(Ⅰ)の半額となっています
加算(Ⅲ) — 喀痰吸引等の指導#
看護職員が、介護職員等の認定特定行為業務従事者に対して喀痰吸引等の指導を行った場合に算定します1。
- 事業所に認定特定行為業務従事者が配置されていること
- 看護職員が技術的な指導・助言を行ったこと
- 指導内容を記録すること
加算(Ⅳ) — 超重症児(者)への看護#
人工呼吸器を装着している等の**超重症児(者)**に対して、看護職員が高度な医療的ケアを提供した場合に算定します1。
- 対象者は超重症児(者)スコアが基準を満たす利用者
- 500単位/日と最も高い単位数が設定されています
- 高度な医療的ケア(人工呼吸器の管理、気管切開の管理等)を提供
加算(Ⅴ) — 健康管理体制の整備#
看護職員との連携により日常的な健康管理体制を整備した場合に算定する月額加算です2。
- 訪問看護ステーション等との連携により、定期的な健康管理体制を確保
- 月1回以上の看護職員による巡回または健康相談の実施
- 利用者の健康管理記録の整備
加算(Ⅵ) — 認定特定行為の実施#
看護職員が利用者に対して**認定特定行為(喀痰吸引・経管栄養等)**を直接実施した場合に算定します1。
対象サービス#
医療連携体制加算は、幅広いサービスで算定できます1。
- 生活介護
- 自立訓練(機能訓練・生活訓練)
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型・B型
- 短期入所
- 共同生活援助(グループホーム)
実務上の注意点#
看護職員の配置 vs 連携契約#
医療連携体制加算は、事業所に看護職員を直接雇用する方法と、外部の訪問看護ステーション等と連携契約を結ぶ方法のいずれでも算定可能です。小規模事業所では、訪問看護ステーションとの連携契約がコスト面で現実的な選択肢となります2。
連携契約の整備#
訪問看護ステーションとの連携契約には、以下の内容を含めてください。
- 看護職員の派遣頻度・時間
- 派遣費用の負担方法
- 緊急時の対応手順
- 個人情報の取扱い
記録の整備#
以下の記録を整備し保存する必要があります2。
- 看護の実施日・時間・内容
- 対象利用者の健康状態
- 看護職員の氏名・資格
- 連携先の訪問看護ステーション等の名称
他の加算との関係#
| 加算 | 併算定 |
|---|---|
| 加算(Ⅰ)と(Ⅱ) | 不可(いずれか一方。同日に1人のみ対象なら(Ⅰ)、2人以上なら(Ⅱ)) |
| 加算(Ⅰ)~(Ⅳ)と(Ⅴ) | 可(日額加算と月額加算は別) |
| 処遇改善加算 | 可 |
| 送迎加算 | 可 |
提出書類#
| 届出書類 | 提出先 | 提出時期 |
|---|---|---|
| 介護給付費等算定に係る体制等に関する届出書 | 指定権者 | 算定開始月の前月15日まで |
| 体制等状況一覧表 | 同上 | 同上 |
| 訪問看護ステーション等との連携契約書の写し | 同上 | 届出時に添付 |
| 看護職員の資格証の写し | 同上 | 届出時に添付 |
よくある質問#
Q. 看護職員を常勤で配置している場合でも加算は算定できますか?#
算定できます。看護職員を常勤配置している場合は、加算(Ⅴ)の算定が特に適しています。また、常勤看護職員が利用者に直接看護を提供した場合は、加算(Ⅰ)(Ⅱ)等も算定可能です2。
Q. 訪問看護ステーションと連携する場合、費用はどのくらいかかりますか?#
連携費用は訪問看護ステーションとの契約内容によります。一般的に、月1〜2回の巡回で月数千円〜1万円程度の委託費が発生しますが、加算(Ⅴ)だけでも月100単位(約1,000円)の収入増が見込めるため、連携による収支はケースバイケースです。
Q. 准看護師でも加算の算定対象となりますか?#
加算(Ⅰ)〜(Ⅵ)のいずれにおいても、准看護師は看護職員に該当するため算定対象となります。ただし、一部の高度な医療的ケア(人工呼吸器管理等)については、看護師(正看護師)の配置が求められる場合があります2。
Q. グループホームで夜間の医療的ケアが必要な場合はどの区分が適切ですか?#
利用者の状態に応じて判断します。日常的な健康管理で足りる場合は加算(Ⅴ)、喀痰吸引等が必要な場合は加算(Ⅲ)または(Ⅵ)、人工呼吸器装着者等がいる場合は加算(Ⅳ)の算定を検討してください1。